2008年11月30日

それはきっと明日のUKチャートで証明される

人それぞれの反応があるとはいえ、the killersの最高傑作にして、個人的には今年のベスト・アルバムとなったday & ageに対する評価が、(日本において)ここまで分かれるというか、微妙なものになるとは意外だった。無論、好意的な評価もあるのだが、もっと手放しで絶賛されるものと思っていただけに少々不満である。


「アルバムとしてまとまりはあるが、1stや2ndに比べるとインパクトに欠ける」とか「これという1曲が見当たらない」、中には「ポップすぎる」なんていう意見もあった。

「ポップすぎる」という人は、そもそもthe killersを聴くべきではないのだから問題外としても、過去のアルバムと比べてインパクトに欠けるとも思わないし、どの曲も素晴らしすぎて「これという1曲」が挙げられないくらいである。

嗜好の問題であり、言っても仕方の無いことではあるが、これほどポップでヴィヴィッドな楽曲をズラリと並べたアルバムを届けてくれたthe killersに申し訳ないような気がする。


また、humanと並んでspacemanの人気が高いということもちょっと気にかかる。もちろんspacemanもいい曲には違いない、おそらくシングル候補のひとつだろう。

しかし、アルバムの中では、最もこれまでのthe killers路線を踏襲している曲、the killersの十八番といった感じの曲であり、アルバムを象徴しているとは言いがたい。つまり、疾走感と一際ポップなメロディがmr.brightsideをも彷彿とさせるspacemanの人気が高いというのが、どうも後ろ向きな感じがして嫌なのだ。

実際、今だ「the killersといえばmr.brightside」という人も多いわけだが、「the killers=mr.brightside」という認識では、当然今作の世界観を捉えることはできないし、過去の作品に囚われたイメージに合うものだけを良しとしていては、the killersに留まらず、常に新しいことに挑戦していくアーティストたちの作品を、本当の意味で楽しむことはできないのではないだろうか...。


いや、それとて好みの問題であるわけだから、偉そうにこんなことを書き連ねることもない。

それでも、愚痴りたくなってしまうのは、やはりday & ageが素晴らしいアルバムだからであり、いまひとつしっくり来なかったという人達にも今一度耳を傾けてもらいたいと思うからである。
posted by atons at 17:38| Comment(0) | TrackBack(0) | the killers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月29日

創作家の態度

david byrne & brian enoのアルバムeverything that happens will happen todayのブックレットには、david byrne、brian enoそれぞれによる解説が掲載されている。

解説といっても、製作過程やこのアルバムに込められた想いを中心に、創作に対する姿勢についても触れらたような箇所もあり、ちょっとしたエッセイ的な趣がある。


アルバムのサウンドのようにオープン・マインドで語られた言葉はやはり温かく、同時に非常に示唆に富む内容でもあり、これを読んだ後で歌詞を眺めつつアルバムに耳を傾けるとさらに心に沁みる。



david byrne
「最近『発生(emergence)』という言葉は流行っているが、この言葉は、どのようにしてミュージシャンやソングライターが音楽の中心から潜在的な要素を感じ取り、簡素な始まりから一つの曲を形にしていくのかを完璧に表現している。だからライターやミュージシャンは、完成した作品における自分の役割はほんの一部だった、と答えることが多いんだ。」

「ブライアンが選ぶコード進行は自分が選ぶものとは程遠いもので、それによって私は新しい方向に押され、馴染みのないものと向き合うこととなった。もちろんこれはいいことだ。この挑戦は技術的なものではなく、感情的なものだった:クリシェに頼らずシンプルで心のこもった歌を書くこと。」


brian eno
「ゴスペルは崇拝より放棄(surrender)の精神を伝えているということ。これには多分に興味が沸いて、それ以来私の音楽に影響してきた。分かり易いモードとコードを使うのはもしかしてこういう所に理由があるのかもしれない。音楽は人を迎え入れ、聴く者を内側へ引き込むものにしたいと思っている。」



“emergence”と“surrender”は、自然で開放感に溢れたこのアルバムを象徴する単語だと思う。



posted by atons at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月28日

everything that happens will happen today/david byrne & brian eno

久し振りにCDショップの試聴ブースでゾクゾクきた。
david byrne & brian enoのアルバム、everything that happens will happen todayだ。

僕にとってのbrian enoといえば、roxy musicであり、U2のプロデューサーである。特にachtung babyは生涯ベスト10入り確実なアルバムで、「スタジオに座っているだけで何か特別なものが生まれる」という噂も大袈裟な話ではないと信じている。
しかしながら、アンビエントなソロ作品については、兄の部屋で流れているのを耳にするくらいのものだった。

そして、僕にとってのdavid byrneといえば、これまた兄の部屋のCDラックから拝借したtalking headsのアルバム、johnny marrが参加したnakedを聴いたくらいのもので、それほど親しみはない。

したがって、brian eno名義の作品もdavid byrne関連の作品も、購入したのは今回が初めてである。


歌もの、しかもフォークとかゴスペルという文句が並んでいたので、試しに聴いてみようという気になったのだが、いくら歌ものでフォークやゴスペルの要素があるといっても、プロデュース業以外ではポップという印象が薄いbrian enoに、あのエキセントリックなボーカルのdavid byrneである。まぁ、僕の守備範囲ではないだろうと非常に冷めた耳で聴き始めた。

ところが、1曲目のhomeであっという間にゾクゾクっときてしまった。
正確にいえば、予想を裏切るその弛緩したムードと包容力すら感じさせるdavid byrneの歌声に続けざまに肩透かしを喰らい、呆気に取られているところをそのまま温かいサウンドと歌によって、グーッと引き込まれてしまったのである。

日本盤ボーナストラックを除いた全11曲中、7曲はdavid byrneが“エレクトロニック・フォーク・ゴスペル”と名づけた、1曲目のhome路線の曲で占められている。ブラスがソウルフルかつポップな味わいを増すlife is longや、カラフルなサウンドのthe riverなどもあるが、いずれも開放的でピースフルなムードで統一されている。
言うまでもなく美しく繊細なbrian enoらしいサウンドと、ジェントルなdavid byrneの歌声が実に気持ちよく、スーッと身体に染み込んでくる。


一方で、brian eno & david byrneという名前から連想される、実験的でエキセントリックなテイストは、i feel my stuffやwanted for lifeあたりに顕著なのだが、美しいピアノの響きとヒップかつアーシーなグルーヴの対比が刺激的なifeel my stuffも、いかにもdavid byrneらしいユニークな表現力が聴かれるwanted for lifeにしても、やはり印象としてはポップにまとまっているように感じられる。
それは、多彩なギター・サウンドやライブ・ドラムなどが効果的に用いられているからに違いなく、ライト・タッチなファンクstrange overtonesやグルーヴィーなpoor boyといったダンサブルな曲は、さらにポップにスタイリッシュに際立っている。


ボーカルとサウンドの有機的な親和具合、そしてそこから放たれる温かくピースフルなムードからすると、このアルバムがひとつのスタジオで生まれたのではなく、音源のやり取りという実に現代的な分業制により完成したものだということが俄かには信じられないのだが、それはお互いが必要なものを明確に認識したうえで、顔をつき合わせるまでも無く、それこそスピリチュアルなレベルで交流できていたからではないかと思えるほど、優しく温かく心に響く作品である。

posted by atons at 17:47| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月27日

CCCD(コピーコントロールCD)回収案

new orderのオリジナル・アルバムのコレクターズ・エディション(ボーナス・ディスク付リマスター盤)が、すでに発売済みのUK盤のボーナス・ディスクにノイズ等が発生したために、日本での発売も見送られる(延期発売未定)ことになったようだ。

「ニュー・オーダー、低品質でアルバムを回収」BARKS 2008-11-27
http://www.barks.jp/news/?id=1000045231

記事によると、ファンによって300以上の不具合が指摘されているらしく、これが本当だとすれば、「オリジナルのマスター・テープからではなく市販のヴィニール盤からコピーされたためではないか」という指摘のように、過失ではなく単なる手抜き仕事の確信犯だったと疑われてもやむを得ないだろう。



幸いにも、これまでこういったCDを手にしたことはないが、是非とも回収してもらいたいものはある。

言うまでも無い、CCCD(コピーコントロールCD)だ。

CCCDによってパソコンでの再生を否定しておきながら、今では「先行配信」や「100万ダウンロード突破」などと盛り上がっているのだから呆れてしまう。

いや、時代の流れを受け入れた潔さは構わない。
ただ、そうやって能天気に盛り上がる前に、やはり過ちを認めてそれなりの対応をする必要があると思うのだ。


何となくこのまま無かったことにしようとしている気配がありありなのだが、例えば14枚のCDシングル全てをがっちりコピー・ガードしてあるduran duranのCDシングル・ボックス・セット(the singles 1986-1995)がまだ手元にあるうちは、そう簡単に忘れられるものではない。

返品・交換などと大それたことは言わないが、せめてリイシュー盤発売の際にCCCDと引き換えで半額負担とか、そういった対応があってもいいのではないかと思う。


posted by atons at 18:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月26日

day & ageの初登場1位は当然の奇跡?

一昨日、guns n' rosesのchinese democracyが凄まじい勢いで売れているというニュースを見かけ、さらに近所のCDショップでは、盛大にディスプレイされたchinese democracyに対して試聴ブースにも並ばずひっそりと売られていたday and ageを目の当たりにしてしまい、やはり来週のUKチャートでの1位もguns n' rosesが当確だろうと早々に諦めてしまったのだが、そのイギリスで、何とday & ageがchinese democracyより売れているというのだ!!


「ザ・キラーズの新作、ガンズ以上の売れ行き」BARKS 2008-11-26
http://www.barks.jp/news/?id=1000045207

「月曜日(11月24日)英国で、ザ・キラーズの3rdアルバム『Day & Age』とガンズ・アンド・ローゼズの『Chinese Democracy』が同日リリースされたが、現在のところ、ザ・キラーズの売れ行きのほうが優勢だという。

『Music Week』によると、初日は『Day & Age』が7万764枚、『Chinese Democracy』が5万791枚のセールスを上げたという。チャートの発表まであと数日あるため、バトルの行方がどう転ぶかまだわからないが、この2枚がトップ2を占めるのは間違いないようだ。」



イギリスにおけるchinese democracyについての盛り上がりがアメリカほどではなかったということなのかもしれないが、それにしてもguns n' roses17年ぶりの新作発表は世界的事件である。
その初日の売上で勝っているということは、来週のアルバムチャートでday & ageが1位となる可能性もかなり高いといっていいのではないだろうか。

そして、おそらくアメリカをはじめとして世界各国で初登場1位を記録するであろうguns n' rosesを抑えての1位ということになれば、今度はそれが奇跡的な一大ニュースとなるわけである。


しかし、day & ageの初登場1位自体そのものは別に奇跡でもなんでもない。アルバムの内容に見合う当然の結果である。ただ、相手がguns n' rosesということで奇跡的な事件として映るだけなのだ。



新鮮なブラスの響きとセクシーでどこか儚げなbrandonのボーカルがグラマラスに絡み合うlosing touch、ダンス・ポップという枠に収まりきらない壮大でスピリチュアルなhuman、そして、ファンの間でも人気が高い、mr.brightsideの煌きを受け継いだともいうべきspaceman。このオープニングの3曲だけでも圧巻なのだが、ディスコティックなjoy rideという新機軸とsam's townの流れを汲むドラマッチクなa dustland fairytaleでさらにグイグイと聴くものを引きつける。

普通ならそろそろいかにも「アルバムの中の1曲」というようないわゆる「つなぎ」曲が挿まれるところへ来て、this is your lifeとi can't stayの2曲の、そのコーラスやトロピカルなアレンジ以上に、よりスタンダードにアピールする極上のポップなメロディこそがまさにネクスト・レベルな存在感を発揮。

さらに、neon tigerのソウル風味、the world we live inの気取った佇まいなど、1stで定義されたthe killersらしさを発展させた、同じ80年代でも後半に属する洗練と成熟を感じさせるサウンドで畳み掛ける。

そして、ポップな要素を意図的に排除したラストのgoodnight, travel wellが、アルバムを貫くダイナミックかつエモーショナルなグルーヴをむき出しにして、それによってアルバムに統一感を与えている。


...「捨て曲無し」とはいうものの、「捨てようかどうしようか、ちょっと迷う」くらいな曲の1曲や2曲はつきものなのだが、day & ageについてはそれがない。「捨て曲無し」の「捨て曲」という表現が不適切に感じられるほど、どれも最高にポップで感動的だ。

アルバムを手にしてから1週間になるが、これほどの速さで、しかも全曲のメロディが身体に染み付いてしまったことはない。やはり初登場1位が相応しいアルバムなのだ。




posted by atons at 18:13| Comment(0) | TrackBack(0) | the killers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月25日

the killersサウンドはsam's town経由

相変わらず、the killersの日本での人気はいまひとつのようで、洋楽雑誌等においても新作発売のタイミングとしてはあまりに扱いが小さい。

扱いが小さいながらも新作に対する評価がおおむね好意的。それは喜ばしいことなのだが、その文脈において、day & ageと比較してsam's townが「the killersらしさに欠けていた」というような流れになっているのには閉口する。

今日も「(sam's townのロック志向と比較して)やっぱりthe killersはこう(day & age的)でなくちゃ」というような記事を見かけた。


そういう人達は、1stアルバムhot fussにおける、シンセを多様したいわゆるポストパンク・リヴァイヴァル的なスタイルをして「the killers」らしさとしているものと思われる。

しかし、そのhot fussには、彼等がアメリカのバンドらしいロックの素養を有しているとわかるmidnight showやchange your mindといった曲があったわけだし、mr.brightsideやsomebody told meにしても、ムーヴメントに埋没しない、エモーショナルかつダイナミックなグルーヴがあればこそ、あれだけの大ヒットを記録したわけである。


したがって、「アメリカン・ロック志向」とか「bruce springsteenの影響」という言葉ばかりが先行し、ともすれば唐突な印象を与えた2ndアルバムsam's townのサウンドも、おそらく1stを聴き込んだファンにとってはそれほど違和感なく受けとめられたはずである。

そしてよりダイナミックにエモーショナルに進化したそのグルーヴは、全く自然で理想的な進化に違いなかった。
また、後にpet shop boysによりリミックスが施されることになるread my mindやfor reasons unknownあたりは、言うまでも無くhot fussに近い感触だった。


そしてday & age。
確かにsam's townほどギターは鳴っていないし、全体としてポップな印象も、強いて言えばhot fussに近いスタイルと言えるのかもしれない。

しかし、hot fussとは比較とならないほど壮大なスケールのサウンドと、さらにエモーショナルに胸を打つメロディとグルーヴが、sam's townを経由したものであることは誰の耳にも明らかである。


hot fussのシンセ志向の強いグラマラスなポップ・センスも、sam's townのエモーショナルなロック・グルーヴも、いずれもthe killersらしさであり、それらの要素が高度に融合を果たしたday & ageは、現時点でもっともthe killersらしいのである。


間違ってもsam's townが「the killersらしさに欠ける」などとは言ってほしくない。

day & ageがthe killersにとっての最高傑作となった今でも、sam's townが近年まれに見る傑作2ndアルバムであることには変わりはないのだから。


posted by atons at 18:30| Comment(0) | TrackBack(0) | the killers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月24日

来週の1位は...

11月23日付最新のUKシングル・チャートにおいて、先週4位に初登場したthe killersのhumanが3位へとひとつ順位を上げている。

1週目でトップ10から姿を消してしまうことが多いロック系アーティストのシングルとしては、珍しいことであり、これにより来週のアルバム・チャートにも大いに期待が持てる。


普通であれば、初登場1位は確実と言いたいところだが、残念ながらguns n' rosesのchinese dmocracyの初登場1位はそれ以上に確実というか、おそらく発売前から決まっていたに違いない。実際、世界中で凄まじい勢いで売れまくっているらしい。

よりにもよって17年ぶりに動き出したロック・モンスターと時を同じくするとは...。

しかし、day & ageはきっとロングヒットを記録し、隙を見つけて1位も手中に収めることになると思う。
このアルバムがthe killersにとっての最高傑作であり、個人的にも今年のベスト・アルバムであるという思いは、繰り返し聴くうちにあっという間に確信に変わってしまったのだから。


ところで、humanのこの部分、

i did my best to notice, when the call came daown the line
up to the platform of surrender i was brought but i was kind
and sometimes i get nervous when i see an open door
close your eyes,clear your heart,cut the chord

日本盤の訳では抽象的な表現になっているのだが、個人的にはplatformはそのまま「(駅の)プラットフォーム」と訳したほうがグッとくる。

最初に聴いた時に、勝手にそういうイメージを持ってしまったからかもしれないが、通勤時間のプラット・フォーム、溜息をつき疲労感を引きずりつつ、しかし人波に身を委ねなければならない状態がつまりsurrenderにかかり、続く「開かれた扉」も電車の扉(もしくは会社の扉)とすれば、nervousがより切実に響いてくると思うのだが...。

しかし、敢えてイメージを固定せずともこの歌のヴァイヴは伝わるし、全体的な言葉のチョイスからしても、また聴く人の創造力に委ねるという意味においても、むしろそのほうがいいということもできるわけで...。


いずれにしてもhumanのアルバム・バージョンとシングル・バージョンの違いくらいに微妙な問題でしかない。
posted by atons at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | the killers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月23日

sam's town/the killers

「ポップなのにエモーショナル」2006/10/5

シングルwhen you were youngはタイトルのまま、メロディと言葉に一瞬のきらめきを凝縮したような美しい曲。
1stを思わせる80's風シンセフレーズから、よりハードエッジにプログレッシブに展開するsam's townのような曲もあれば、for reasons unknownやread my mindには1stを超えるポップなメロディと疾走感がある。


個人的に1stに感じられた、ボーカルとバンドサウンドのズレのようなものが解消され、非常に一体感のある有機的なサウンドになったのは、コーラスをはじめとするアレンジ面や個々のパフォーマンスの充実によるものにほかならない。

特にbrandonのボーカルの進歩は驚異的ですらある。
1stのようなエフェクトに頼ることなく、エキセントリックはそのままに、よりダイナミックに、さらに肩の力が抜けた優しい歌声には慈愛や寂寥感まで感じられる。


そして、そのエモーショナルなパフォーマンスからも、詩の内容からも、killers流のゴスペルというべきmy list,this river is wild,why do i keep counting?の3曲は、このアルバム最大の聴きどころであるとともに、彼等が難しいセカンドアルバムの壁を楽々と乗り越え、さらなる高みに向かっていることを示すものである。


brandonは「U2のachtung babyのような音作りを目指した」と語っていたが、ポップなメロディにさらに磨きをかけ、よりストレートにロックすることで手に入れたエモーショナルなサウンドは、U2史上最もポップに振り切れることで、結果的にエモーショナルな側面を際立たせることになった「achtung baby」と、「ポップなのにエモーショナル」という点において、大いに通じるところがあると思う。


posted by atons at 16:54| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月22日

classic albums:making of rioに対する複雑な想い

new religionがdavid bowieのstayのグルーヴに影響を受けているとか、hungry like the wolfにおけるcolin thurston的ドラムサウンドなど、rogerのグルーヴ解説のおかげで、レコード/CD/ライブと数え切れないほど聴き続けてきて、最近ではほとんど聴くこともなかったこの2曲を久し振りに新鮮な気持ちで聴くことが出来た。

また、nickのフレーズにandyがギターを重ね、そこにjohnとrogerがroxy music風のリズム・トラックを加え、あっという間に完成したsave a prayerに、休み明けのsimonが独特のセンスで詩と歌メロを乗せたという件は、当時のオリジナル5のケミストリーを強く感じさせるエピソードであり、その上でsave a prayerを聴くとまた新たな味わいが増してくる。

アルバムrioの曲なんて、それこそ身体の一部になるくらい繰り返し聴いているわけだが、それをこうして新鮮な気分で聴くことが出来るのが非常にうれしい。



これまで雑誌やアルバムの解説等では、音楽的側面に触れられることがあっても、何とも当たり障りのない、味気ない、ざっくりした内容ばかりだった。

行数稼ぎのために曲ごとの解説が掲載されることもあったが、それも実にあっさりとしたものばかりで、「そこをもうちょっと掘り下げてくれよ!」と何度思ったことか。

30年近くそういう思いをしてきたファンにとって、このmaking of rioというDVDは、不完全な出来ながら、まさに夢が叶ったというような画期的な内容なのである。

しかしながらその一方で、30年という歴史において初めて音楽的検証が行われたという事実は、duran duranを取りまく偏見、つまりduran duranとその音楽がいかに虐げられてきたかということを表しているわけでもある。


このDVDの内容には不満もあるし、本当はnotorious/big thing/libertyあたりの検証のほうが必要だと思うのだが、rioのメイキングが世に出ただけでも善しとしなければならない、というのが悲しいけど現実なのである。

posted by atons at 18:30| Comment(0) | TrackBack(0) | duran duran | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月21日

classic albums:making of rio/duran duran

30年に及ぶキャリアにおいてduran duranの音楽そのものが検証されるのは、今回のclassic albums:making of rioが初めてということになる。

2000年代に入り、それなりにduran duranの音楽的功績を称える声も聞こえてくるようになったものの、そのいずれも長年活躍を続けるバンドへのありがちな称賛に留まり、それが果たして音楽そのものに対する評価なのかということになれば、非常に怪しいものといわざるを得なかった。


したがって、マスターテープからそれぞれのパートを抽出しつつメンバー自らが製作秘話や解説を加えるという、今回のmaking of rioはファンはもちろん、duran duranにとってもまさに待望の企画といえるのではないだろうか。


こういうシーンが見たかった、こういう話が聞きたかった...、見ながら何度もそう思った。

nickがイントロの種を明かし、johnがベースを弾きつつberanrd edwardsの影響について言及するrio。
new religionとhungry like the wolfでは、rogerのグルーヴ解析が面白い。

さらに、ボーナス・マテリアルとして収録されている、save a prayerの製作過程とsimonによる歌詞及び歌メロについての秘話、そしてさらにsimonがthe chauffeurのインスピレーションから自らの詩作のテクニックにまで言及する件は、もしかしたら今回のDVDで最大の見所といえるかもしれない。

特に、save a prayerの1節がgordon lightfootのif you could read my mindから影響を受けているとか、イスラエルの光景をbruce springsteenのborn to run的表現を拝借することで、近未来的ラヴストーリーへと展開しthe chauffeurへ至ったという、simonのユニークかつヴィヴィッドな感性を再認識させられるようなエピソードは、非常に興味深い。


しかしながら、そういったシーンばかりではなく、duran duranといえば当然PVの話がつきものなわけで、今回もアルバムのメイキングを謳いながら結構な時間がPVにまつわる話に充てられている。
そのあたりは散々語られつくした感があるものの、スリランカ撮影の裏話やメイキング映像、そしてrussell malchayのインタビューは貴重なものである。


rioで果たした全米進出についてのパートでは、アメリカ向けのリミックスを手がけたdavid kershenbaumも登場する。

自らの功績をほのめかしたい彼と、「魂を売った、でもいい仕事だった」と言いつつ、ボーナス・マテリアルのほうでは「ほんの少し変わっただけだった」とぶっちゃけている当時のマネージャーpaul berrowとの温度差が面白い。

実際、duran duranの全米進出はMTVと彼等のポップな作品によるものだったわけで、まさに「ほんの少し変わっただけだった」david kershenbaumのリミックスはそれほど貢献していないはずである。心なしかそのいきさつについて語るjohnの目も虚ろである。


本編50分に加えてボーナス・マテリアルも50分程度あり、上記のsimonがsave a prayerとthe chauffeurについて語る件や全米進出、さらにジャケット・デザインやデビュー時の契約の話などが収録されているので、古くからのファンにとってはこちらのほうがメインのように感じられるかもしれない。

さらに、このDVDのために収録されたスタジオ・ライブ映像live from bostonも、考えてみれば客を入れずに、しかもいいサウンドで収録されたライブ映像というのも珍しく、演奏も充実しており、rioのオープニングからスティックを落としてしまうrogerの姿とともに(笑)、見応えのある内容になっている。



全体としては、予想以上に楽しめたわけだが、my own way/lonely inyour nightmare/last chance on the stairwayの3曲に全く触れていないにも関わらず、PVや1stアルバムについての話に時間が割かれていたり、seven and the ragged tiger以降の映像も散見されるなど、中途半端な印象も残る。やたらにフューチャーされるbob gedolfのインタビューもそれほど必然性が感じられなかった。

andy taylorとプロデューサーcolin thurstonの証言が得られないということで、この企画自体に無理があったとはいえ、それならせめて全曲を徹底的に分析してもらいたかったと思う。


ずっとduran duranの音楽を支持し続けてきたファンにとっては物足りないものではあるが、、duran duranの音楽的評価(再評価ではない。いまだかつて、音楽そのものを正当に評価されたことなどないのだから)への第一歩としては大いに意味のある企画といえるかもしれない。

posted by atons at 17:16| Comment(0) | TrackBack(0) | duran duran | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする