2010年11月30日

アドベント

ニュースを見ていたら、キリスト教系の幼稚園でクリスマスの4週間前から毎週1本ずつろうそくに灯をともしていくという行事の模様が流れた。「もろびとこぞりて」を歌う子供たちがとても可愛く、特に「もーろびと」の「もー」のところがつい口元が緩んでしまうほど愛らしかった。普段、地方局の存在意義に疑問を感じていて、幼稚園で芋掘りをしたとかミス○○が本社を訪れたとかいうニュースを見てしまうと、何か大事件が起こったときのはしゃぎようも頭を過ぎり、つい「またそんなどうでもいいニュースばっかり...」と文句を言いたくなるのだが、全部こんな微笑ましいニュースならそれはそのほうが断然いいな...と、可愛らしい「もろびとこぞりて」を聴きながら思った。

キリスト教ではその4週間のクリスマス準備期間のことを、イエス・キリストの降誕を待ちわびるという意味で「アドベント」と呼んでいるというのをそのニュースを見て初めて知った。テレビなどで何度か見かけたことがある、12月1日からその日の日付が書いてある場所それぞれに絵が描いてあったり種類によってはおもちゃや何かが入っていて、毎日それを開けつつクリスマスを楽しみに待つあのカレンダーもアドベント・カレンダーと呼ぶらしい。もし子供の頃アドベント・カレンダーの存在を知っていたら、おそらく自分で作って自分で開けて、わりとそういった行事に冷めていた家族の中でひとり楽しんでいたに違いない僕からすれば、1本ずつろうそくに灯をともすのもアドベント・カレンダーも、クリスマスを待ちきれない子供の気持ちを反映した素敵な風習だと思う。



the killersの今年のクリスマス・ソングbootsがリリースされた。youtubeでは、11月29日のソロ・ライブにおいてbrandonが歌っている映像を見ることができる。

Brandon Flowers/The Killers: Boots -- DC 11-29-10 @ 9:30 Club
http://www.youtube.com/watch?v=w47WSsbIuhs

クリスマス・ロック、物語仕立て、クリスマス・キャロル、マリアッチと毎年それぞれ大きく異なるスタイルだった過去4曲のクリスマス・ソングと比べても随分とシンプルな仕上がりで、そういう意味では最もthe killersらしい曲ともいえる。そのシンプルさがかえって新鮮でもあるし、only the youngやcrossfireあたりを思わせるメロディも文句無く素晴らしい。同様にこれまでとは違い、何気ないありふれたクリスマスの風景を切り取った、それゆえに今の時代にことさら優しく幸せに感じられる歌詞とともに、静かに降る雪と暖かな家の灯が自然と思い浮かぶ、またしても素敵なクリスマス・ソングになっている。

5年連続でしかも毎年違ったテイストのクリスマス・ソングで楽しませてくれるのは本当に有難いことで、子供の頃のこちらの希望とは確実に違った生真面目なクリスマス・プレゼントを思い出すと、大人になってやっと本物のサンタ・クロースに出会ったようにも思えてくる。


そんなわけで、the killersからクリスマス・ソングのプレゼントを受け取ったところで(bootsが日本のiTunes storeでも配信されそれを購入したところで)、例年であれば僕のクリスマスは一足早く終わってしまうのだが、今年はこの後もcoldplayのchristmas lights、hurtsのall i want for christumas is new year's day、george michaelのdecember song 2010とクリスマス・ソングが相次ぎ、そして何といってもduran duranのall you need is nowが12月21日に控えているから、今年に限ってはまだ終わらないどころか、クリスマスを心待ちにする子供とあまり変わらない心境が続く。

つまり、the killersのbootsは、ちょうど1本目のろうそくに灯がともる中、アドベント・カレンダーの1日目をめくったら、早々に素敵なプレゼントが出てきたようなものであり、今日から21日まではall you need is nowを指折り数えて待つ準備期間、僕にとって初めてのアドベントという気もしてくるのである。
posted by atons at 17:09| Comment(0) | TrackBack(0) | the killers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月29日

余裕

今日は朝起きたら周囲の山が所々白く、昼までには屋根にも軽く積もるくらいに雪が降った。初雪は1週間ほど前の夜中に済んでいたらしいが、人知れずちらほらと舞ったリハーサルを雪と思われては雪も不本意なようで、是非今日のほうを初雪でよろしくという勢いで降って大分冬らしくなった。



先週リリースされたduffyのwell, well, well。adeleのrolling in the deepを聴いてしまった後では、待望の2ndアルバムからの1stシングルとしてはインパクトに欠けているようにも思えたのも事実だし、またやはり1週間後のアルバム・リリースを待たれたのかもしれないが、いずれにしても初登場41位の曲でもなければ歌唱でもない。

一方、take thatのprogressが発売2週目もさらに20万枚以上のセールスを上乗せして余裕の2週連続1位。1週目での50万枚超とあわせて現時点で70万枚以上のセールスを記録していて、クリスマスまでには100万枚に達すると見込まれているらしい。


...で僕はといえば、そのtake thatのprogressもまだ手にしていないし、duffyのendlesslyも注文していない。そういえばelizabeth & the catapultのthe other side of zeroもリリースから1ヶ月経つというのに、ほかの数枚のCDや本と一緒にお気に入りリストに入ったままである。HMVには貯まったポイントもあるし、すでにリリース済みのその3枚をマルチバイで購入しようと思えばいつでもお得に購入できるのだが、何故かカートに移動せずにいる。

今ではHMVやamazonを利用するのが癪に障るからではなく、ごく自然にまぁそのうちでいいかという感じで、できるだけ早く聴きたい一心であれだけ右往左往し、時に苛立ちさえしていた頃からすれば(といってもつい1ヶ月前の話だが...)、憑き物でも落ちたかのようにまるで別人な落ち着き様である。自分でもその変貌振りには「おいおいそんなに落ち着いちゃって大丈夫? 無理してんじゃないの」と戸惑い気味でもある。

そういう意味では、HMVとamazonのおかげでやっと今さら真っ当な分別ある大人になれたともいえるわけで、決して嫌味ではなくかえってよかったという気もしている。楽しみにしていたアルバムを聴けていない寂しさ物足りなさは無論あるものの、今はそれに付随するわずらわしさからの解放感や、買おうと思えばいつでも買える余裕のほうがうれしく心地よい。

しかし、だからといって音楽への関心が薄れる気配もないのは、the killersのbootsやhurtsのall i want for christmas is new year's day、そしてduran duranのall you need is nowが控えているからでもあり、それらがダウンロード・リリースということで、発売延期や入荷遅れに気を揉む必要がないのがさらにまた精神的な余裕を与えてくれるのである。


mark ronsonとboy georgeのsomebody to love meのシングルもcage the elephantのshake me downも見当たらないiTunes storeの品揃えには不満もあるが、特に発売延期の権化duran duranのall you need is nowについて、今回ばかりは(おそらく)延期もなく入荷遅れもないというのが、新作だけでなくリイシューやベスト盤に到るまでリリースのたびに延期と入荷遅れのストレスにさらされ続けてきたファンにとっては(延期がないのは多少物足りなくもあるが...)、新作をただ楽しみに待っているだけでいいという当たり前がすでに奇跡であり、それはiTunes storeへの不満を忘れさせてくれるほどに喜ばしいことでもある。

それに何だかんだ生意気なことを言っても、気づけばall you need is nowのメロディが頭の中で鳴っているし、PV撮影の際の写真を見れば期待もさらに高まってきて...、少なくとも12月21日にアルバムがリリースされてしばらく、つまり年内はこの余裕が続きそうである。
posted by atons at 17:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月27日

それじゃ波動エンジンは動きません

テレビをつけたら「僕らの音楽」が始まり、「SPACE BATTLESHIP ヤマト」の特集だというので、steven tylerの歌う主題歌に、(実際そういうものがあるかどうか知らないが)挿入歌の女性ボーカルのバラードか何かが流れてもまだもう1曲くらいは余裕があるだろうから、きっとオリジナルに敬意を表して、ささきいさおの「宇宙戦艦ヤマト」が聴けるものと思って見ていたら、音楽番組なのに収録秘話が続き、途中ちらっと昨年公開された復活編のヴァージョンが流れたものの、やがて主演二人の音楽活動に話が移り、何故だか最後はSMAPの歌で終わってしまった。


ヤマトはオリジナルのアニメも大好きだけれど、それ以上に宮川泰先生作曲の「宇宙戦艦ヤマト」とBGMがもうたまらなく好きで、いまだにNHKの歌番組にささきいさおの名前を見つければ必ず見るようにしている。今週火曜日のチャリティ・コンサートのような特別番組だったりすると、いつにもまして豪華なオーケストラによる大迫力の演奏が聴けるし、その演奏とがっぷりよつに組むささきいさおの圧巻の歌唱は本当に何度見ても魂が震える。ささきいさおこそ毎年紅白に出演して歌の素晴らしさ凄さを世に伝えるにふさわしい歌手だと思う。


アニメの実写化に伴い、リアリティを追及するあまりなのかそれとも何かを誤魔化すためなのか、やたらと画面が暗くなってしまうのには辟易していて、むしろ現在の「ドラえもん」のようにオリジナルを生かしつつ新たな魅力を加えるようなアニメ版を作ってもらいたいと常々思っているのだが、ただ最新の技術でヤマトが宇宙を行く雄姿を見てみたい気持ちもあったりする。だから、実写化そのものを否定するつもりはないのだが、主題歌が「宇宙戦艦ヤマト」ではないというのがとにかく納得できない。


古代進の髪が長すぎても、森雪がコスモタイガーを男勝りに操っても、ハゲで酒好きだった佐渡先生が美人女医になっても、仮にデスラーの顔が青くなかったとしても...、主題歌が「宇宙戦艦ヤマト」ならばそれはヤマトであるし、逆に「さらば地球よ旅立つ船は」が適さない世界観ならばそれはヤマトとはいえないのである。この点だけは、いかに新しい主題歌が素晴らしい歌だとしても譲れない。宮川先生の勇壮な旋律とささきいさおの声がなければ、ヤマトは発進できないはずである。何とか発進できたとしても波動砲は間違いなく不発に終わるはずである。

主題歌ではなくBGMや挿入歌として使われるたりするのかもしれないが、それはそれでせめて天国の宮川先生にひとこと断わってからにしてもらいたいと思う。




ちょうどヤマトの映画が盛り上がっている頃、マルちゃんのラーメンか何かの袋を集めて送れば抽選で大きなヤマトのプラモデルが当たるというキャンペーンがあって、子供にしたらそんな好機をみすみす逃せるものかとせっせと食べて集めて、兄と一緒に応募したことがある。

応募したのも忘れた頃に、不自然に膨らんだ茶封筒が郵便受けに突き刺さっていた。宛名に僕の名前があったので開けてみたら、天辺にマルちゃんのマークが付いた砂時計だった。ヤマトのプラモデルに外れた残念賞ではあったものの、当たらないよりはマシという感じもして、さらに正直に言うとつまり何も当たらなかった兄に対する優越感みたいなものもあり、砂時計で結構はしゃいだ記憶が今も残っていて嫌になる。

それから数日して、今度は兄宛のものすごく大きな包みが届いた。開ける前からそれがヤマトのプラモデルであることは明白だった。砂時計での優越感もどこへやら、口惜しさと妬ましさともに急速にいじけモードに入った僕を見るに見かねた優しい兄は、その大きな箱の中からおまけのアナライザーのプラモデルを僕にくれたのだった...。

...そんなわけでヤマトにはそれなりに思い入れがあるのだ。

posted by atons at 17:11| Comment(2) | TrackBack(0) | TV・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月26日

pinで留まるping

毎週「ダウンロードしますか」と表示されるのが鬱陶しくなってきたし、確かにプロパティから開いた歌詞を閉じるのと一緒にiTunesも閉じてしまったりする不具合があったので、iTunesを最新版の10にアップグレードした。そしたらiTunes10は“Ping”という新機能が売りだそうで、それは音楽のソーシャル・ネットワーク・サービスで、大好きなアーティストをフォローしたり、またそこでの友人達とのやり取りによってあなたの音楽の世界はもっと広がるでしょう...というから、とりあえず登録。

早速duran duranやrobbie williamsやduffyをフォローしてアクティヴィティを眺め、robbie williamsのthe long walk homeに「いいね」をクリック、kings of leonのback down southに「いいね」をクリックしたりして...、ひと通り使ってみて口を吐いたのは「...で?」だった。

つまりこれまでmyspaceやfacebookを介して行われていたサービスをアップル社が直接管理するというだけの話で、特にこの期に及んで改めて音楽の世界を広げるような何か新しい機能があるというわけでもない、今さらのサービスでしかないように思う。


facebookだったりtwitterだったり、myspaceはもうほとんど放置されがちで、アーティストによって主だった情報更新の場がまちまちで、そのうえ常に新しいサービスに流れがちなために、それぞれのオフィシャル・サイトを覗かずに一箇所で好きなアーティストの情報を入手できるというこういったサービスの利点が失われつつある。その点において、リンクを介さず直接楽曲の試聴や購入ができるという強みを持つiTunesにアーティストの情報が集約されていくのであれば非常に便利でもあるし、Pingが恒久的なサービスとして定着していく可能性も十分にあるだろう。

しかしながら、新曲のリリースを知らせる情報が更新されても日本のiTunes storeでは購入できないという例があるように、つまり国やレコード会社の壁が依然として存在し、音楽の世界が広がっていくのを阻害するのであれば、やはりPingもまた数あるSNSの選択肢のひとつにしかなりえないはずである。



理想と現実の関係は乖離を超えてもはや断絶の域に達している。もし仮に理想が易々と実現すればその裏にきっと何かなければ承知しない世の中でもある。理想はその実現のために掲げられるのではなく、理想は実現されず理想のままであるから理想なのであって、言い換えれば現実的には使いものにならないのが理想なのかもしれない。

国やレコード会社の壁という現実によって阻害されるからこそ、Pingは音楽の世界が広がっていくという理想を掲げ何か新しいことが起こりそうな予感を漂わせることができるわけで、もし何の障害もなく文字どおり音楽の世界が際限なく広がっていくようになってしまえば、それは新機能と謳うことさえ虚しいくらいに取るに足りない現実でしかなくなってしまう。

ちょうど政治家や政党のポスターが、そのご立派な理念が実現されないうちに任期を終えたり支持率が低下するのを見届ける前に風雨にさらされ剥がれ落ちていくように、Pingも音楽の世界を広げることなく静かにその役目を終えていくに違いない。無論、国やレコード会社の壁が取り払われ、同じ内容のアルバムが何枚も並んだりするようなことが解消されるのであればその限りではないが、それは理想が実現するより遥かに難しいことだろう。
posted by atons at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月25日

all i want for christmas is...

the killersのクリスマス・ソングbootsに気をとられすぎて肝心のクリスマスのほうはすっかり手薄になってしまっていたようで、ニュースで「クリスマスまであと1ヶ月」と言っているのを耳にしても、早いようなそうでもないような感じであまりピンとこなかった。

11月に入ると街中もいそいそとクリスマス仕様になるのであと1ヶ月も順当なところではあるけれど、助走が長すぎれば中だるみも避けられないし、僕にとってはthe killersからクリスマス・プレゼントをもらった時点でクリスマスにまつわる楽しみが終わってしまうようなものでもあるから、早いようなそうでもないような、むしろまだ1ヶ月もあるような...、しんしんと降る雪の向こうにかすかに見える窓灯りのようにぼんやりとしていて...、やっとその灯りの下に、サンタクロースがトナカイの手も借りてプレゼントのラッピングや何かに忙しくしている様子が見えてくるくらいである。


the killersの今年のクリスマス・ソングbootsはまだ聴けていないものの、北米でのリリースが11月30日に迫っているので、あと数日のうちにはPVも公開されるに違いない。日本でのリリースは、過去4曲のリリース時期から考えると、12月中旬頃になるものと思われる。


そんな中、昨晩hurtsのtwitterに、まるでもらったプレゼントに不満でもあるかのように気難しい顔をした子供二人とサンタクロースが写ったモノクロの素敵な写真が投稿されていて、“HURTS”の下には“ALL I WANT FOR CHRISTMAS IS NEW YEARS DAY”の文字。驚いて調べてみたら、それは12月14日にiTunes storeを通して無料で配信されるらしいクリスマス・シングルのジャケットで、今日になってyoutubeを検索してみたら音源も見つかった。

blood, tears and gold/stayにクリスマスの装飾を施したような荘厳でいて温かみもあるクリスマス・ソングになっている。何しろ、明け透けな“you”ではなく“new year's day”である点が、品があって優しくて本来のクリスマスらしくってとてもいい。

Hurts - All I want for christmas is new year's day
http://www.youtube.com/watch?v=MGVca7CyuTI


hurtsといえばこの間久しぶりに書店で手に取った「イン・ロック」にインタビューが掲載されていて、「デビュー前は週5000円程度の失業手当で食べることも儘ならない生活を送っていた時期もあり、それに比べると現在の経験はひとつひとつが素晴らしく楽しく、もちろん感謝の気持ちで受け止めている」というような行があった。よくある売れない時期の苦労話といえばそれまでだけれど、実際彼等の曲にはそういった喜びや感謝の気持ちが溢れているように感じられる。だからこそシンセポップや80年代サウンドといったスタイルを超越して多くの人々の心をとらえているのだろうし、こうしてall i want for christmas is new year's dayと歌われたりするとやたら胸に沁みるのである。


posted by atons at 17:24| Comment(0) | TrackBack(0) | the killers | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月24日

in and out of consciousnessを聴きながら(5)

同じく97年にリリースされたoasisのbe here nowに大きな失望を味わった後に聴いたlife turh a lensも無論ブリット・ポップの影響を色濃く感じさせる内容だったわけだが、しかしながらその名残とともに、一方で形骸化したムーヴメントとは全く異質な、こちらから歩み寄らずとも自然と耳を引き、振り返らせるいい歌といい声を中心に据えた明確なポップさがそこにはあった。

また、lazy daysのカップリングであり日本盤life thru a lensのボーナス・トラック(隠しトラック)でもあったcole porterのev'rytime we say goodbyeにおける、本編とはまた違ったジェントルな歌唱には、ロックに留まらない音楽的な広がりとポップ・スターとしての可能性が多分に感じられた。それは、ブリット・ポップの狂騒に翻弄されまくった僕にとって、再度音楽への希望を見出すためのリハビリの効果さえもたらしてくれることになった。


angelsはどちらかといえばわかりやすいロック・バラード、let me entertain youもタイミング的にはkula shakerのhey dudeを想起せざるを得ない曲。曲そのものにはそう強烈なインパクトはないはずのに、これもまたなぜか初めて聴いたときから特別な感じのする曲だった。特にangelsについてはシングル・カットしたら、それこそ状況がガラッと変わるであろうことさえ容易に想像できるほどに訴えかけてくるものがあった。押し寄せる感動の中、「(シングルにするなら)これでしょう...(south of the borderじゃなくて)」と独りごちた記憶もあるし、おそらく世界中でこのアルバムを聴いたファンの口からそんな独り言が漏れていたに違いない。

しかし、すでにアルバムからカットされた3枚のシングルはその度に順位を下げていて、今さらシングル・カットしてももう手遅れだろうと諦めざるをを得ない厳しい状況にもあった。それだけに、angelsがロングヒットを続け、トップ10入りさえ逃しあっという間に姿を消したアルバムlife thru a lensが再度チャートを駆け上がり1位を獲得、さらにlet me entertain youまでもがヒットし、angels以前がまるで嘘だったみたいにそうなるべくしてなったというような当然の顔をしてポップ・スターの座を手中に収めてしまったその様子を目撃するのは、まさに奇跡を目の当たりにしているのと同じことだった。まだ俄かファンの分際ながら、毎週末の深夜、BEAT UKのチャートを見ては我がことのように喜んだ。




take thatを聴くようになったのはprayからだった。ちょうどtake thatのデビューが、ロックに傾倒していく時期と重なったために、楽器の演奏もできずきっと曲も書いていない、踊れてそれなりに歌えるだけのアイドル・グループに過ぎないという偏見しか抱いていなかった。prayがチャート1位になり、フルで耳にする機会が増えるとその曲の良さに抗えず、とりあえずCDシングルを購入してみたらgary barlowの自作曲ということで大いに驚きまた反省し手のひら返しで好きになった。

だから当初はgary barlowにばかり注目していて、robbieについてはeverything changesでリードボーカルを取っているというくらいの認識しかなかった。何しろpray/love ain't here anymore/back for good/never forgetなんていう素晴らしい曲を作り、プロデュースも手がけるgaryこそ、elton johnやgeorge michaelの後継者たるUKポップ・スター(つまり現在のrobbie williamsの地位)の資格を有していると信じて疑わなかった。ただ、その重責を負うにはボーカリストとしての面白みや迫力、キャラクターを含めた強烈な存在感という点において物足りなさが感じられたのも事実であり、それもあって対照的に過ぎるあまりついにグループを脱退してしまったrobbieのことが妙に引っかかっていたのだと思う。

everything changesの頃には、robbie williamsとまさかこれほど長い付き合いになり、心の友と勝手に呼ぶほどの大切な存在になるとは思ってもいなかった。

posted by atons at 17:19| Comment(2) | TrackBack(0) | robbie williams | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月23日

ナイト・ライフ

それなりに充実しているとはいったものの、iTunes Pingのアクティヴィティでtake thatのprogressやduffyのwell, well, wellのジャケットを念のためにとクリックしてみれば、「ご希望のアイテムは、現在日本語のストアではご利用いただけません」というメッセージが表示され、cage the elephantのshake me downも取り扱いが無く、Pingで音楽の世界が広がる前に、iTunes storeが閉じたままでは広がりようもないと思うと、やっぱり充実とは程遠いような気もしてくる。



昨日「HEY!HEY!HEY!」を見ていたら、小林克也が出演していて、この番組にしては珍しく80年代洋楽特集だった。karma chameleon/take on me/material girlといった80年代洋楽特集の大定番に混じって、duran duranではなくpower stationのsome like it hot、princeもpurpule rainあたりではなくbatmanが流れたのが少し意外だった。

ゲストの真琴つばさが、宝塚の舞台で80年代の洋楽を使うことが多く、自身も「『パワステ』のsome like it hotを使ったことがある」と言っていたのだが、テレビで芸能人がpower stationについてコメントするのも、ましてや「パワステ」と略しているのも初めて見た(「HEY!HEY!HEY!」でduran duranについて触れられたのも、KOJI1200名義で出演した今田耕司が、好きだったアーティストにデュラン・デュランを挙げたのに対して、ダウンタウンのふたりが「あぁ、デュラン・デュランな...」と明らかに分かったふりをしてやりすごそうとしたところで「ははーん、あんたらデュラン・デュラン知らんなー」と言って以来のことだろう、多分)。今後、真琴つばさをテレビで見かけるたびに、元宝塚を差し置いて「あっ、『パワステ』の人だ」と思うに違いない。

KOJI1200 - ナウロマンティック
http://www.youtube.com/watch?v=x63xhB39-hE



寝る前に何気なくhuman leagueのオフィシャル・サイトを覗いてみたら、64日前からスタートしたはずのカウント・ダウンが消えたかわりに、night people villa remixの無料ダウンロードが始まっていて、さらにnight peopleのPVも見られるようになっていた。

http://www.thehumanleague.co.uk/

本人たちの出演はなく、5ヶ国ほどのナイト・ピープルのナイト・ライフを追いかけたドキュメンタリー・タッチの内容で、音とも絶妙にシンクロしていてなかなかいいPVだと思った。5ヶ国のうちには日本も含まれているのだが、何故かリーゼントに革ジャンでロカビリー、しかもタクシー移動だったのが妙に面白くまた謎でもあった。サラリーマンや芸者のほうがより明確に日本らしかっただろうし、そういった露骨な日本風を嫌ったのだとしても、リーゼントにロカビリーというアイディアは出にくいと思う。もちろん日本らしさ云々という意図はなく、単なる偶然で日本のnight peopleがリーゼントにロカビリーだっただけなのかもしれないし、もしかしたら、the killersのread my mindのPVにもelvis presleyのそっくりさんらしき人が出演していたりもするので、日本人のイメージのひとつとしてリーゼントやロカビリーがどういうわけか定着しているのかもしれない。



duran duranのall you need is nowのジャケットも公開されて、何だかよく分からないけれど、red carpet massacreと比較するまでもなく、ものすごくいいジャケットだと思う。また、1stシングルall you need is nowのPVはordinary worldやwhite linesを手がけたnick eganが撮影するそうで、こちらもfalling downのPVより遥かに素晴らしいものになるはずである。
posted by atons at 17:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月22日

まだでも結構充実

先週15日にリリースされ、2000年以降で最高の初日売り上げを記録したtake thatのprogressはそのまま売れ続け、結局発売一週間で520,000枚という凄まじい数字を叩き出した。これは初日売り上げ同様に、1997年のoasisのbe here nowが発売一週間で記録した663,000枚以来の大きな数字であり、当然11月21日付最新のUKアルバム・チャートでは初登場1位、トップ10内のほかの9枚のアルバムを足してもまだ及ばないくらいに売れているらしい。

うれしいには違いないが、ほんの1ヶ月ほど前、今年2番目に早い売れ行きで、5位以内のほかの4枚の合計以上に売れたin and out of consciousnessが霞んでしまうような大記録には、自分で自分の記録を更新したとはいえ、robbie williamsファンにとっては少々複雑なところもないわけではない...。


be here nowがリリースされた1997年は、ちょうどrobbieのソロ・デビューアルバムlife thru a lensがリリースされた年でもある。morning gloryに続く待望の新作ということで期待も大きく当初はこうして13年経っても塗り替えられないほどに爆発的に売れたbe here now。やがて失望の声が広がるのと時を同じくしてブリット・ポップが下火になっていく中、robbieはangelsのヒットを足がかりに頂点へと上り詰めていった。

いわばその余勢を借りながら、しかしポップ・シンガーとしてまたエンターテイナーのインパクトでもって、図らずもブリット・ポップというもうその頃には多分に形骸化していたムーヴメントに終止符を打つ形にもなったわけで、あくまでも記録上での比較対象とはいえ、あれから13年が経ち、take thatに復帰したこのタイミングでoasisのbe here nowが引き合いに出されることに、浅からぬ因縁とまではいかないにしても、一言では言い表せないような様々な想いが、今頃robbieの心の中をめぐっているのかもしれない。



日本のHMVやamazonやiTunes storeではまだリリースされていないので、そんな盛り上がりも因縁も感慨も想像してみるしかないのが残念である。

しかしその一方で...、

ストレートなパンク・スタイルがかえって新鮮に感じられるcage the elephantの2024、atomic lullabyやforbidden fruitあたりを彷彿とさせつつ洗練と現代的なガレージのテイストを加えたblow monkeysのthe killing breezeをそれぞれ無料ダウンロード。human leagueのnight peopleは、日本のiTunes storeでも購入できた。オフィシャル・サイトではnight peopleのリリースと同時に、再び64日からカウントダウンが始まっているので、おそらくアルバムcredoは来年1月25日頃にリリースされるものと思われる。the killersの今年のクリスマス・ソングbootsもジャケットが公開になり、PVも完成したようで、11月30日のリリースを前にもうすぐ解禁されるだろう。

...だからそれなりに結構充実していたりもする。


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2010年11月20日

night people/the human league

the human leagueの新曲night people(11月22日リリース)をyoutubeで聴くことができる。すでにライブ映像はあったものの、昨日あたりからアルバム・ヴァージョンやリミックス・ヴァージョンが続々と投稿されている。

THE HUMAN LEAGUE Night People (Album Version)
http://www.youtube.com/watch?v=_rnkmfr0XGA

The Human League - Night People (Emperor Machine Remix)
http://www.youtube.com/watch?v=jIoCJ4rBvWk

Night People (Cerrone Club Mix) - Human League
http://www.youtube.com/watch?v=X6epPxARD18


少々ハードめなクラブ仕様のサウンドとやはりトランスの影響は免れないものの、普通ならソウルフルな黒人女性ヴォーカルでも入ってくるところにお上品で年齢不詳な女性コーラスが添えられ、このまま(human leagueとしては)わりと単調に終わってしまうのかと思いきや、最後にしっかりとキャッチーなメロディでもうひと盛り上がりさせてくれるサービス精神、そしてとにかくphil oakeyのダークでロマンティックで耽美的で外連味たっぷりのヴォーカルがある限りは何をしようがhuman leagueでしかない。文字どおりhuman leagueがnight peopleという曲を歌うだけに、決してクールに硬質にはなりきれない...、そんな曲になっていると思う。

やっていることはほとんど変わっていないのに現代においても十分にヴィヴィッドでしかもポップ、また変わっていないからこその比類なき堂々たる存在感もあり、ゆえに巷の80'sリヴァイヴァルなど寄せつけないほどに最高にカッコいい。ほのかに80年代extended versionの雰囲気も漂うemperor machine remixもいい。

来年リリース予定のアルバムcredoは、前作secrets(2001)から10年ぶりということになるので(2008年にはthe things that dreams are made ofのリミックスもリリースされてはいるが)、過剰な反応にもなりがちだが、むしろあまりの変わらなさによって適度にクールダウンされ、そのうえでカッコいいと思えるのが80年代組の底力だと思う。


night peopleやOMDのhistory of modernや聴いて、その時代を超越した魅力に触れると、彼等のスタイルはシンセポップやエレポップやニュー・ウェイヴよりも80'sと呼んだほうがいいのではないか...、そのうちロック/ポップス/ダンス/ソウル/R&Bと並んで80'sというジャンルも確立されてしまうのではないだろうかと思ってしまう。

かつてはほとんど無かったことにされそうだった80年代の音楽とアーティストが、こうして見事に永遠の輝きを放ちつつ躍動しているのを目の当たりするのは本当にうれしいことだ。
posted by atons at 17:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 80年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月19日

季節の話題

猛暑の影響で今年はリンゴが不作らしい。確かに11月も半ばを過ぎたというのにまだ例年並に美味しいと思えるリンゴには出会えていない。色もよく大きいものは値段が高め、味では引けをとらないはずの小ぶりなものもいまひとつ。今になって能天気に猛暑を喜んでいたことについて反省を促されているような気がする。来年の夏はお米やリンゴが不作にならない程度にできるだけ暑い夏であってほしいと思う。


猛暑のせいでことさら厳しく感じられた秋の出口冬の入り口の冷え込みも落ち着き、そして体も慣れ、最高気温13度ほどでも陽が射せば暖かいと思えるようになった。

紅葉のピークが過ぎた公園では、足元を埋め尽くした落ち葉もほのかに暖かい。はらはらと葉が落ちる様は寂しげではあるものの、この優しい暖かさや苔の緑ともみじの赤とイチョウの黄の鮮やかなコントラストや歩くたびにガサゴソ鳴る愉快な感覚は、葉が落ちて土に還りまた木々を形作るという自然の律儀さに留まらない、まだまだ何か素晴らしいことが続いていくというような喜びがそこに満ちているように思わせてくれる。

オレンジ色に染まったもみじを陽に透かしてし見上げていたら、シジュウカラが5羽ほどシピーシピーと鳴きながらやってきて、枝をちょこちょことせわしなく動き回っていた。ヒヨドリがやたらと騒々しい松の大木で、「コンコンコンコン」と生真面目に仕事をしている風のアカゲラが愛らしかった。カモたちはちょうど草を食む時間のようで、顔が赤いのも緑のも茶のもみんな水から上がって嘴当たりしだいに草をはむはむしていた。




まだblow monkeysのsteppin' downが聴けず、昨晩はyoutubeでsteppin' downを見つけた夢までを見てしまった。連日steppin' downやhuman leagueのnight peopleをyoutubeで検索しているので、その流れでついduran duranの音源も聴いてしまう。もうそろそろアルバムを新鮮な気持ちで聴くためにやめなければと思いつつ、インターネットの時代にCDを開封する際の興奮を求めるのが、かえって音楽好きにとっては無駄な抵抗のようにも思えてくる。

Duran Duran - Leave a light on
http://www.youtube.com/watch?v=WysxgaI8Pm0

all you need is nowはサビの弱さは変わらないものの、硬質なアレンジなどを聴くとかなりカッコいい感じもする。leave a light onのサウンドもよく練られているようで、falling downよりも数倍美しいと思う。

ここへ来て毎日のようにall you need is now関連の情報が更新されている中、from mediterranea with loveというXmas EPがヨーロッパ限定で配信リリースされることが明らかになった。2月リリースのCD版ボーナストラック3曲(mediterranea/other people's lives/king of nowhere)とall you need is nowの全4曲で構成されるようで、それならば初めから12曲でリリースしてもいいような、ヨーロッパに限らずともいいような...、ちょっと不可解なリリースなのだが、ダウンロードのみでもチャートでの健闘が期待できるヨーロッパにおいて、CD待ちによるダウンロード控えがないように念のために前倒しでボーナストラックを配信しておこうということなのかもしれない。


posted by atons at 17:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする