2011年01月31日

今日はadeleの日、2月14日はblow monkeysの日

昨晩11時半過ぎに蛇口をひねったら、ゴゴゴッという音に続いてシャーベット状になった水がドシャドシャと落ちた。この冬2度目。今朝の最低気温はそれでも−9℃だったらしい。冬の夜は水抜きという寝る間際のひと仕事が欠かせないから、緊張というと大袈裟かもしれないけど、春夏秋のようにちょっと横になって気づいたら朝なんていう気楽さは少なくともない。電気を消して布団に入れば静寂が際立つ。まるで鉄の扉に覆われたような冷たい静けさは寝入りにまで緊張を強いる。昨日は手が触れればシュッととけるような雪の壁みたいな優しいほうの静けさだった。



1月30日付最新のUKアルバム・チャートでは、adeleの“21”が初登場1位。発売から2日で10万枚のスタートダッシュの後、1週間で20万枚以上のセールスを記録。1月リリースのアルバムとしては、2006年にarctic monkeysのデビュー・アルバムwhatever people say i am that's what i'm notが記録した36万枚に次ぐ大きな数字。

さらに、make you feel my loveのヒットによって昨年から再浮上していた1stアルバム“19” も4位。トップ5内にアルバム2枚そのうち1枚が1位というのは、1999年にthe corrsがtalk on cornersとforgiven not forgottenで1位と2位を記録して以来12年ぶりの快挙(2009年にはmichael jacksonのoff the wallとthrillerが3位と4位で2枚同時トップ5入り)。

さらにさらに、シングル・チャートでは先週初登場1位を逃し2位に留まったrolling in the deepが今週3位、make you feel my loveがいまだ15位、そして“21”収録のsomeone like youがすでに36位。つまりシングル3曲がトップ40入り。...ということで記録尽くしの大ヒット。最近は素晴らしい内容に見合う納得のヒットが少なくなる傾向にあったので特にうれしい。...と同時に、初日だけで23万枚、発売1週間で53万枚売ってしまったtake thatのprogressのものすごさも改めて思い知る。



the blow monkeysの再結成2枚目staring at the seaもリリースまで2週間というタイミングでついに全貌(といっても各曲30秒)が明らかに。

staring at the sea/the blow monkeys
http://www.amazon.co.jp/Staring-At-The-Sea/dp/B004KU2CCK/ref=sr_1_3?ie=UTF8&s=dmusic&qid=1296460576&sr=8-3

前作devil's tavernよりさらに明確にアコースティック/フォーク志向を強めてはいるものの、そこに初期のグラムなロック・テイストとやけにゴージャスなストリングスが加わったり、すでにライブで披露ずみだったseventh day(travelin' souls - live! at the legendary 100 clubにも収録)もこれでもかというヴォリュームのブラスとブルージーなギターで恐ろしくファンキーに仕上がっているし、ジャジーなstaring at the seaもいい。travelin' soul路線の胸沁みメロディについてはいうまでもなく、2月14日が待ち遠しい。


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2011年01月30日

ゾクゾクと続々と

marti pellowのlove to loveもそこそこにまずはadeleの“21”。歌声とメロディと演奏が渾然一体となって歌が出来上がるという、当たり前なのに今や奇跡をアルバムを通して体験できる。その奇跡に心振るわせ感動していると、cage the elephantの奴等がthank you, happy birthdayにあわせてドクター中松のジャンピングシューズでお構い無しにビョンビョンと飛び込んできて、それが痛快で気持ちよくて面白くてたまらない。やれやれと今さら手にしたrobbie williamsのin and out of consciousness(DVD)のジャケットを見れば、普段はレーサーとして活躍する主人公がサナギマンに変身して、kissメイクの敵と対決する映画ポスターのようで、何も今見なくてもいいPV集を結局全部見てしまう。


必然的に1ヶ月以上それしか聴いてこなかったall you need is nowもひと休み。聴き過ぎたという感じもしないけれど、まだ完全版CDのリリースが控えているタイミングでもあり、ダウンロードであっさりと手にして以降、duran duranのリリースを前にしながらすっかり油断しているようなところもあったので、新鮮な気持ちで改めてall you need is nowを味わうのにちょうどいい頃合のひと休みなのかもしれない。

そのall you need is now完全版のリリースもどうやら3月21日に落ち着いたようで、日本のamazonでもすでに予約受付中(http://www.amazon.co.jp/All-You-Need-Now-Duran/dp/B004L49K20/ref=sr_1_1?s=music&ie=UTF8&qid=1296354267&sr=1-1)。発売予定日が22日なのはともかく、2種類並んでそれぞれが1300円と1100円という超低価格なのが気にかかる。デラックス盤と通常盤だとしたら、200円差のデラックス感とはどの程度のものなのか、9曲先行配信しておきながら200円分のデラックスで大丈夫なのだろうかとちょっと心配。


同じく3月21日リリースとして突如現れたのがmorrisseyのシングルglamorous glue。morrissey-soloでも取り上げられていたもので、日本のamazonでも見つかった(http://www.amazon.co.jp/Glamorous-Glue-Morrissey/dp/B004L15FHM/ref=sr_1_2?s=music&ie=UTF8&qid=1296355047&sr=1-2)。これがyour arsenalのデラックス・エディションにまつわるリリースでないとしたら何なのかということになるので、先走ってうれしいニュースと解釈しているのだが、それによってkill uncleが飛ばされたのだとすれば(レコード会社としては当然の選択だとしても)寂しい気も。


scritti polittiの初ベストabsoluteに収録される新曲2曲のうちの1曲day late and a dollar short。

Scritti Politti: Day Late And A Dollar Short (rubbish quality radio rip)
http://www.youtube.com/watch?v=ergmZO7fHN4

white bread, black beerは言うまでもなく、anomie & bonhomieも生演奏が基本だったから、ここまで露骨な打ち込みシンセたっぷりサウンドは91年のカバー・シングルshe's a woman/take me in your arms and love me以来20年ぶり。シンセポップまたはファンクというよりもやはり時代に即してエレクトロニカといった趣に仕上がっていて、「ナチュラルに恋して」よりもperfumeっぽいくらいにポップ。久しぶりでこのポップさと現役感は凄いと思う。



20周年を記念して初のチリ開催(4月2日、3日)となる「ロラパルーザ・チリ」にthe killersが出演することも明らかになった。いよいよthe killersが活動再開となるわけだが、昨年7月4日にはホワイト・ハウスでライブ、恒例のクリスマスソングbootsも(一応)the killers名義で、実質的な活動休止期間は1年にも満たない。活動休止と解散をごっちゃにして盛り上がるメディアやファンをよそに、淡々としかし超クリエイティヴな活動を続けるbrandonはカッコよすぎる。

posted by atons at 17:10| Comment(0) | TrackBack(0) | duran duran | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月29日

thank you, happy birthday/cage the elephant

正直ここまで凄いアルバムになるとは思っていなかった。何しろ1stアルバムがやりすぎなうえに出来すぎてもいたから、その路線をヘヴィかつプログレッシヴに増強するくらいしかなく、またそれだけでも十分にいい作品になるだろうと思っていたので、さらにアグレッシヴに攻め音楽性の幅も広げ、混沌の度合いを増してしまったにも関わらず、1stが大人しく物足りなく感じられるくらいにスケールもヴォリュームも格段にアップしたこの2ndアルバムthank you happy, birthdayを前にしては、もはやただ唖然とするしかない。


1stでは曲ごとにフィーチャーされていた多様なスタイルをshake me down/2024/japanese buffaloでは1曲中に大胆に同居させる一方で、free loveのような一心不乱ファンク路線はほとんど聴かれなくなり、同様にフォーキーでブルージーなain't no rest for the wickedやback against the wallのような曲も、そのヒップなグルーヴや弛緩したムードを残して、よりシンプルでメランコリックなrubber ballやflowに取って代わられている。

全体としてはガレージ/パンクのテイストが色濃くなっているものの、そうかと思えば1stからのファンならきっと耳を疑うに違いない超ポップでストレートなギター・ロックright before my eyesが(隠しトラックとして収録された別ヴァージョンとあわせて)とんでもない名曲だったり、そのポップさを早速面白がって弄繰りまわしてゲラゲラ笑い転げているかのようなaround my headまである。

また1stにおいても随所に顔をのぞかせていたアート・ロック志向がいよいよ鮮明になり、シンセ類のエレクトリックな装飾、サンプリングやループ、それにrubber ballやflowにおけるアンビエントな構成が、ポップなテイストを加味するだけに留まらず、混沌としたサウンドのエッジを際立たせ、グルーヴを補強し、さらにアルバムに緩急をつける役割も果たしている。


結果として、新人らしい自由奔放な衝動が1stよりも増しているだけでも妙なのに(知らない人が聴いたら1stと2ndをあべこべに感じるのではないだろうか)、それとともにポップさも複雑な味わいもグルーヴのオリジナル感も増し、挙句に断然アルバム志向な一体感もあるというおかしな現象が起こるに到ったのがこのthank you, happy birthdayなのである。

そういう意味では近年稀に見る筋金入りのオルタナティヴ・ロックでもあり、このアルバムを聴いた際の驚きと興奮は、自然とかつてそれに初めて触れた頃を思い起こさせる。そしてこんなに尖がって猥雑でそれなのにポップで、今どき小難しい注釈など必要としないロックが全米初登場2位、しかもそれが見方によっては現在の音楽シーンをおちょくるかのように(新年早々リリースによる)棚ボタ的な2位であるというのがさらに興奮を煽る。はじめこそ唖然とするものの、あとは何から何までひたすら痛快なアルバムだ。


posted by atons at 17:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月28日

21/adele

adele本人が語っているようにカントリー/ブルーズへの傾倒が窺える内容ではあるが、rolling in the deepからしてすでに“dark bluesy gospel disco tune”だし、turning tablesではピアノとストリングスが窓を打ちつける雨のように木々を激しく揺らす風のようにうねり、シンプルなソウル・バラードone and onlyのうえに優しく暖かなコーラスがキラキラとまるで天から降り注ぐような奇跡的な瞬間があるかと思えば、彼女のフェイヴァリット・バンドのひとつでもあるthe cureのlovesongの素直なアコースティック・カバーもある。

同様にカントリー・バラッドdon't you rememberやゴスペルのtake it allに留まらず、ピアノとブラスがファンキーなi'll be waitingはそれ自体が新鮮でもあるり、rumour has itではアーシーな感触とブルージーなギターを巧みに取り入れつつ、それをコーラスワークで何故かヒップに刺激的に仕上げてしまったのが面白い。


多彩な音楽性をこれでもかと披露した1stアルバム“19”の後なので、カントリー/ブルーズのテイストが支配的かつバラード志向も強い今作のトーンはかなり落ち着いた印象も与えるかもしれないが、adeleらしいユニークなアイディアはここぞというポイントで遺憾なく発揮されていて、音楽性を焦点化しつつそこに自らの色もしっかりと留められている。その一方で、より意のままに操れるようになったという歌声と、(おそらく)カントリー/ブルーズとの邂逅によって、メロディ自体も更なる広がりと強さを獲得しており、バラード主体にも関わらず、1曲ごとにめざましい変化を仕掛けなくてもそれぞれが十分に耳を引く。

コンポーザーとしても歌い手としても、あれだけの完成度を誇った1stからのさらなる着実な進化が明確に聴いてとれるのは本当に驚きである。


また、1stアルバム直後には、「悲しいことしか歌にできない」とか「機が熟さなければ曲は作らない」というようなことを言っていただけあって(実際にはそういうわけにはいかなかったのかもしれないが)、確かに熱く濃密で生々しい情感を1曲聴くたびにドンと目の前に置かれ圧倒されるような感覚がある。それがカントリー/ブルーズ色云々以前にアルバムに統一感を与えているに違いないし、またそれゆえにアルバム中では最もプレーンなクラシカルで美しいバラードsomeone like youとともに、adeleの歌声がダイレクトに心を揺さぶったという、アルバム1枚聴いたにしては随分素っ気ないしかし強烈な余韻が残る。

歌声とコンポーザーとしての才能がパーソナルな感情と密接に絡みあうことで成立する、adeleにしか創りえないアルバムだと思う。
posted by atons at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | レビュー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月27日

ソーシャル・ネットワーク

基本的にはfacebook創設者であるマーク・ザッカーバーグの地味な成功物語でしかなかったけれど、2時間があっという間に感じられる評判に違わぬ面白い映画だった。映像の美しさや重厚感については言うまでもないし(彼女に振られて大学の寮へと向かうシーンからもう釘付けだった)、やたらと早口な台詞回しに、回想シーンとふたつの訴訟を絡めた構成と大胆に視点を変える手法も鮮やかに決まっている。どんな話だったかと聞かれたら「大学生がfacebookを立ち上げて大きくしていく話」で済んでしまう単純なストーリーをよくぞここまでスリリングに仕立て上げたと感心させられる。

また主役であるジェシー・アイゼンバーグのつかみどころのないリアルな演技も絶妙で、彼なくしてはおそらくデヴィッド・フィンチャーをしても、このちょっとだけ物悲しいけれどおよそ共感に値しない(エドゥアルドがパソコンを叩きつけるシーンくらいしか激しさもない)成功物語に観客を引きつけることは難しかったと思う。ありがちな流れになりそうなタイミングでそれをはぐらかすような彼の演技、そして主人公の苦悩やら葛藤にあえて低回しない描写がかえってリアリティを生む一方で、青春と成功と喪失の物語としてのいかにもなテイストもそこかしこに散りばめられており、最後までマーク・ザッカーバーグの本意がどこにあるのか、いやもしかしてそんなものはどこにもないのではないかと観客は気を揉むことになる。



失恋が端緒であり大学の社交クラブへの劣等感が直接のきっかけではあるのだが、青春ものの青臭さとは無縁、さらにサクセス・ストーリーにつきものの挫折も特にない。同様に裏切りというほどドロドロもしていないし、エドゥアルドに対してひどい仕打ちをしたショーンに「あそこまでしなくても」と言うシーンもあるが、それくらいしか友人に対する強い情が窺えるシーンも見当たらない。そもそも彼等の間にそこまで強固な友情が存在していたのかどうかも怪しかったりするし、そういった人間関係を犠牲にしたというような悲壮感も見えてこない。ゆえに成功と引き換えに失ったものも大きかったというとらえ方では落ち着きが悪く、実は端から恋も友情も希薄というか...失われていたと考えたほうがしっくりくる。

5億人が利用するfacebookを創った本人が実は孤独であるという見方についても、物語において成功者とは往々にしてそういう結末を迎えがちでもあるし、ましてネット上だろうと現実社会だろうと究極には人は孤独であるという主題なら、今さらソーシャル・ネットワークを扱った映画で表現するまでもないように思う。無論映画自体もそのように描いているとは言い難い。ハーバード大学に入学しクラブへの劣等感を感じるくらいの野心も持ち合わせた、しかし人づきあいの苦手なパソコン好きのオタク大学生が、しがらみにとらわれることなくやりたいようにやったら、ふたつの訴訟を抱えはしたものの大成功を収めたという身も蓋もない解釈も十分に成り立つ。どちらかといえば、僕はそういう印象を強く受けた。



いわば報われないであろう思いをクリックし続ける寂しげなラスト・シーンがいかにも孤独や喪失感を演出していたりもするので(ただしこれも、同じように失恋がきっかけだったというショーンに「今でもその女性のことを覚えているか」と問うシーンを想起すればそう見えるが、主人公の気のない表情からはただ単に訴訟の場で出てきた昔話に触発され何気なくそうしていたという風に見えなくもない)、たしかに成功とその代償の物語としての解釈も可能だし、成功者の喪失と孤独に思いをはせることもできる。

さらに劇中でcreepが流れでもしたらよりそういった方向に引っ張られていたに違いないが、実際には5億人のfacebook利用者がパソコンに向かう姿だって傍から見たらこんなものだろうし、そこでfacebook創設者として成功を収めたマーク・ザッカーバーグと比べたら、人付き合いの苦手な大学生が作ったネット上のサービスを通して新しい人間関係に淡い期待を抱きながらパソコンに向かっている5億分の1の孤独のほうがよほど寂しげであり、また容易に共感もできる。

しかしそのうえで、共感に値しない主人公のつかみどころのなさが、映画を見終わった後も依然として不可解なまま引っかかり続け、容易な共感などでは決して得られない、成功も友情も愛も孤独も断絶もあるような無いような...でもやっぱりあるようにして連なっていく...ゆえに心許なくとりとめもない、大きな虚しさにとらわれてしまうのがこの映画の実に生々しく胸に訴えるところでもあり、ものすごく面白いところだと思う。
posted by atons at 17:10| Comment(0) | TrackBack(0) | TV・映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月25日

absolutely

今朝生中継されたadeleのロンドン・ライブの模様をyoutubeでチェックすることなく、marti pellowのlove to loveもさておき、何故oh pattiやbrushed with oil dusted with powderを聴いているのかといえば、ついにやっとscritti polittiのベスト・アルバムが2月28日にリリースされることになったからである。

当初昨年3月リリース予定だったものが6月に延期され、それがさらに延期になった後はリリースの予定自体が消えてしまい、結局その存在が明らかになってから約1年後のリリースということになる。

HMVで予約受付中(http://www.greengartside.com/)でもあまり当てにはならないけれど、オフィシャル・サイト(http://www.greengartside.com/)において発売日及び収録曲目も公開されているので、今度こそはリリース確定ということで大丈夫だと思う。


absolute a collection of words & music by scritti politti

wood beez(pray like aretha franklin)
absolute/the word girl(flesh and blood)
perfect way
hypnotize
oh patti(don't feel sorry for loverboy)
boom! there she was
umm
tinseletown to the boogiedown
die alone
brushed with oil dusted with powder
skank bloc bolonga
sweetest girl
asylums in jerusalem
jacques derrida
she's a woman
a day late and dollar short
a place we both belong


昨年3月の時点でも伝えられていたようにdavid gamsonとレコーディングした新曲2曲(day late and dollar short/a place we both belong)も収録。ベスト盤としては、2006年の5thアルバムwhite bread, black beerを除く4枚のアルバム(songs to remember/cupid & psyche 85/provision/anomie & bonhomie)からの曲にデビュー・シングルskank bloc bolognaを加えた構成になっている。

2005年リリースの初期音源集earyはあったものの、30年超のキャリアにおいて初のベスト盤、しかもたった5枚のオリジナル・アルバムしかないのだから思い切ってシングル曲は全部収録(それでも20曲にも満たないのだが...)してもよかったと思うし、新曲2曲を除けばshe's a womanのアルバム初収録くらいしか目玉(といってもそれもついこの間までiTunes storeから配信されていたし...)が無いのも寂しい限り。

しかし、これが3年や5年の空白は当たり前のscritti politti時間では、5年ぶりのリリースというだけでも有難く、さらに30年で5枚のscritti politti基準に拠れば、5年で新曲2曲が聴けるのだからベストについての不満など口にしては申し訳なくも思われる。またscritti politti時間や基準から抜け出し冷静になってみても、初ベストの後にオリジナル・アルバムのリマスター・デラックス盤化(80年代の3枚くらいは...)も期待できれば、やはり大いに意義のあるリリースということにもなるだろう。

また個人的にはoh pattiと並んで思い入れのあるbrushed with oil dusted with powderが、シングルではないのに収録されたのが非常にうれしく、極端に言えばベストとして物足りない内容でも、たとえ新曲が無かったとしても...とまでは言わないけれど、この曲をscritti polittiのベストのひとつとして聴けるだけでも幸せだ。

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2011年01月24日

圧雪も溶かすlove to love

1月23日付最新のUKシングル・チャート。adeleのrolling in the deepは初登場2位。シングル、アルバム両チャートを制覇したbruno marsの勢いには及ばず、こうなると確実と思われていた“21”の来週のアルバムチャートでの初登場1位も微妙なところなのかもしれない。


もうすぐ僕のところにもその“21”が届くわけだが、履歴を見てみたらHMVでの購入は3ヵ月ぶり。in and out of consciousness ultimate editionにまつわるゴタゴタがきっかけで、気乗りせず注文を躊躇ううちにできるだけ早く聴きたい見たい気持ちが落ち着く一方、duran duranのall you need is nowを初めとしてダウンロードによる音源が充実。平均すれば少なくとも1ヶ月に1回のペースで利用していたにも関わらず、この3ヵ月特に不自由を感じることもないどころか、発売延期や入荷遅れやそれを知らせる不毛なメールに煩わされることがなかった分だけかえって穏やかに過ごすことができた。

adeleの“21”が日本盤から1週間、cage the elephantのthank you, happy birthdayもリリースから2週間、robbie williamsのin and out of consciousness(DVD)にいたっては2ヶ月以上、それぞれ遅れて手にすることになっても、elizabeth & the catapultやduffyのアルバムを未だに買い損ねていても、こうしてすっかり平気でいられるようになってしまった。


そして、そんなまったりムードに拍車をかけるというか...、この場合チョコレートでコーティングして仕上げに粉砂糖を振りかけるという感じに、さらにまったりぬくぬくにしてくれるのがmarti pellowのlove to love。

曲目を見ただけでも、このアルバムがまるでスニッカーズに練乳をつけてマックスコーヒーを飲みながら食べるくらいに甘く、いくらmartiの素晴らしいボーカルをしても、女性ファンを除いては甘すぎてどこか照れくさくも感じられるだろうと思っていたのだが...、しかしソウルフルに歌いあげてもジェントルにささやいてもクールに決めてもいける、まさに男の気品漂う極上のボーカルにまたしても心奪われ、斜のかかった80年代ラヴ・ソングの向こうにはくっきりと美しい旋律も浮かび上がり、ストリングスをフィーチャーしたi surrenderニュー・ヴァージョンはその悲しみをさらに優しく包み込んでくれるようでもあり...、結局男の僕もあっけなくとろけまくっている。特にdon't know much/we've got tonight/suddenly/angelを聴いた時の鳥肌は尋常じゃない。

1ヶ月続いたall you need is nowもひとまずお休み。love to loveがあれば入荷遅れなど気にならず、聴けば一時的に鳥肌でゾクゾクするものの、その後間違いなく身体の内側からじわじわと暖まる、心も身体も道路の圧雪も溶かすlove to love。
posted by atons at 17:29| Comment(0) | TrackBack(0) | wet wet wet | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月23日

love to love/marti pellow

前作devil & the monkeyからわずか8ヶ月で届けられたmarti pellow通算7枚目のアルバムlove to loveは、80年代を中心に自身のフェイヴァリット・ラヴ・ソングを取り上げた、(sings the hits of wet wet wet & smile/between the covers/sentimental meに続く)4枚目のカバー・アルバム。

唯一のオリジナルであるi surrenderとsarah mclachlanのangelを除いてほぼ80年代のヒット曲もしくは80年代にリリースされた曲で、しかもAOR/アーバン・ソウル/ブラック・コンテンポラリーで統一され、いつになく濃厚に80年代の香りが漂う選曲になっているのが興味深い。

you are so beautiful(joe cocker)/suddenly(billy ocean)/sailing(christopher cross)/i'll be over you(toto)といったおなじみの曲に、80年代からの音楽ファンなら曲名を知らなくても必ずラジオで耳にしたことがあるはずの名バラードがずらりと並び、それを最高のボーカリストが歌い上げるのだからよくないわけがない...と思っていてもそれをはるかに超えて素晴らしい...と言うまでもないのだけれどあえて言わなければ落ち着かないくらいに、1曲目のdon't know muchにおける繊細で美しくしなやかでもちろんソウルフルな歌唱からあっという間にアルバムの世界に引き込まれてしまう。

特に今風な解釈などは加えず、オリジナルを生かしつつそのうえでさらに洗練を施したアレンジが80年代のAOR/アーバン・ソウル/ブラック・コンテンポラリーの魅力を十分に引き出すことにも成功していて、そういう意味では名ボーカリストによる名曲のカバーというmarti pellowにしたらそれだけでも十分なコンセプトに留まらない、80年代ラヴ・バラード集としての側面からも非常に聴き応えがある


you are so beautifulやsuddenlyを今さらこれほど新鮮に聴くことができ心揺さぶられるなどとは思ってもみなかったし、甘すぎるし小奇麗にまとまりすぎて当時から苦手なタイプの曲だったchristopehr crossのsailingやtotoのi'll be over youについても、オリジナルに寄り添った丁寧で繊細な歌唱の端々から滲み出てくるmartiらしいアーシーな感触がいい隠し味となっていて、胃にもたれずにかえってメロディの美しさを純粋に味わえる。


唯一のオリジナルi surrenderは前作devil & the monkeyのラストに収録されていた曲。smileの冒頭を飾ったhard to cryが後にカバー・アルバムbetween the coversに再収録されたのと同様に、彼にとって思い入れの強い曲に違いなく、また再収録に値する名曲でもある。オリジナルではピアノとかすかなストリングスのみをバックに歌われていたが、今回は80年代ラヴ・ソング集というアルバムのトーンにあわせて、流麗なストリングスをフィーチャーしたニュー・ヴァージョンでの収録となっている。名バラードの中にあってしかも再収録に関わらず一際心奪われ、オリジナルだからとはいえ曲と歌声との一体感が段違い。martの類まれなパフォーマンスと80年代楽曲のクオリティの高さに加え、特にi surrenderの存在がアルバムの濃厚な80年代テイストをエヴァーグリーンへと昇華しているようにも思う。


love to love/marti pellow
http://itunes.apple.com/jp/album/love-to-love/id413244984
http://www.amazon.co.jp/Love-To/dp/B004GNW9K6/ref=sr_shvl_album_1?ie=UTF8&qid=1295659431&sr=301-1

1.don't know much(linda ronstadt and aaron neville)
2.after the love has gone(earth, wind & fire)
3.you are so beautiful(joe cocker)
4.baby come to me (patti austin and james ingram)*duet with tameka goodman
5.we've got tonight(bob seger/kenny rogers and sheena easton)
6.suddenly (billy ocean)
7.caught up in the rapture (anita baker)
8.i surrender (marti pellow)
9.so amazing (luther vandross)
10.sailing (christopher cross)
11.i'll be over you (toto)
12.angel (sarah mclachlan )

(カッコ内はオリジナル及び代表的なアーティスト)

posted by atons at 17:54| Comment(0) | TrackBack(0) | wet wet wet | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月20日

2位もいい

たしか昨年の12月29日。テレビ朝日の朝の情報番組にM-1グランプリで2位になったスリムクラブが出演していた。漫才としてはどうなのか、そもそもこいつら誰なんだという見る側の戸惑いも意に介さないような凄まじい間で1位の笑い飯をほとんど食ってしまっていたスリムクラブ。

笑い飯贔屓の僕も「バラード」やら「民主党」の行では笑いはしたものの、それでもまだ半信半疑なところがあって、その生出演に際してもどの程度のものか見極めてやろうくらいの斜めな見方をしていたのだが...。

アイドルのオーディションにタンクトップと短パン姿で現れ、手にしたビニール袋からおもむろにおにぎりを取り出し食べはじめ、それを注意されると「自分がコントロールできないんです。...でも自分を責めたりはしません。...悪循環になるから...」というネタに大爆笑し、そうだよなと変なところで納得したりして、一瞬にして大好きになってしまった。一緒に大笑いした母親もそのとき初めて目にしたスリムクラブをとても気に入ったようで、正月にテレビを見ていると「スリムクラブは出てないの?」と何度も聞いてくるほどだった。



cage the elephantの2ndアルバムthank you, happy birthdayが最新のUSアルバム・チャートで、まさかまさかの初登場2位。ロングヒットを記録した1stアルバムの最高59位からしても俄かには信じられないのだが、紛れもない事実。

クリスマス・シーズンに盛り上がった消費も落ち着き、また目立った新作もない新年早々(1月11日)のリリースが大きく影響しているらしく、同様に初登場1位となったcakeのshowroom of compassionは、バンド初のトップ10入りが初登場1位といううれしい知らせとともに、過去最も低いセールス(44,000枚)での初登場1位という有難くない記録を残すことになってしまった。つまり39,000枚のセールスだったcage the elephantのthank you, happy birthdayはわずか5000枚の差で初登場1位を逃したことになるわけだが、今回ばかりは有難くない記録の付いてまわる1位よりも2位のほうがよかったのかもしれない。


とにかく個人的にも、例えばred hot chili peppersにとってのmother's milkやblood sugar sex magikのような飛躍を期待していた2ndアルバムだっただけに、ライバルの少ない新年早々を狙ったリリースという戦略も当たり、さらに色々な幸運が重なっての2位だとしても喜ばしいニュースであることに変わりはない。
posted by atons at 18:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月19日

吉と出ても凶と出ても

今年のcorchella festivalのラインナップが発表になり、噂されていたduran duranの出演もついに明らかになった(http://www.coachella.com/)。他になじみのあるところでは、kings of leon/brandon flowers/hurts/mumford & sons/suede/cage the elephant、そしてradioheadのcreepをカバーしたscala & kolacny brothersの名前まである。実際に観ることはできないけれどyoutubeがあるし、duran duranファンにとっては何よりもall you need is now完全版リリース後間もなくというタイミングがうれしい。


そのall you need is nowのiTunes store限定先行配信からもうすぐ1ヶ月。ほとんどall you need is nowしか聴いていないような状態で、オリジナル5によるastronautでも叶わなかった潔いほどの80年代サウンド、そしてそのポップな曲調のせいもあってか、レコーディングを楽しんでいる様子が伝わってくるような演奏、同様に溌剌としたsimonのヴォーカルも含め、アルバム中に強力で瑞々しいヴァイヴが満ちていて、やっぱりいいアルバムだと思う。


2月(または3月)に完全版がリリースされることを発表したうえで、さらにiTunes store限定配信ということもあり、チャートについては、(こういった条件で、それがいいのか悪いのかもしくは妥当なところなのか分からないが)今のところUKでは196位、USでは119位に留まっている。

完全版14曲のうちの9曲を先行配信して、残り5曲でこのご時勢にどれだけCDが売れるものなのか...。心配でもあるし、この内容ならば間違いなくいいリアクションが期待できるという気持ちもあるし、また客観的な立場からすれば、大手のレーベルに頼らないこういったやり方がどれだけ通用するのかという点には大いに興味もある。いわばアルバムから数ヵ月後にデラックス・エディションをリリースするというやり方を効果的に良心的に用いた今回の先行配信は、「iTunes storeチャート1位」の勢いをかりて奏功するかもしれないし、かえってリリース時の勢いを分散させてしまうおそれもあるだろう。

しかし残念な結果になったとしても、各国のiTunes storeで1位(日本でも一時的に2位)を記録するほどに根強いファンが世界中に数多く存在することも改めて証明され、アルバムの内容自体も満足のいく内容であれば、順位等は瑣末なことでしかないのも事実。後ろ盾がない代わりに、やりたいようにやった結果、ダイレクトにファンのリアクションを感じることができたという意味では、duran duranにとってもむしろ得るところが大きかったはずである。


reportageをレーベルから拒否され、timbalandと組んだまではよかったもののそこでアルバムを象徴するとは言い難い実にもっさりとしたバラードfalling downをシングル・カットし、結局ただファンを当惑させて終わってしまったred carpet massacreの後だけに、尚更そういった思いも強いに違いない。

ただし、個人的には今でもred carpet massacreの半分は素晴らしいと思っているし、このアルバムが正当に評価されなかった原因がfalling downのシングル・カットにあるという認識も変わらない。



posted by atons at 17:43| Comment(0) | TrackBack(0) | duran duran | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする