2011年08月31日

I won't let you go/james morrison配信開始

james morrisonの新曲i won't let you go(9月26日リリースの3rdアルバムthe awakeningからの1stシングル)が、いつの間にか配信中。

i won't let you go/james morrison
http://itunes.apple.com/jp/album/i-wont-let-you-go-single/id456728992

you make it realのときも、伝えられていたリリース日よりも前に、こんな風にひっそりと配信されていたように記憶している。9月18日にはiTunes festivalでのライブ音源(broken strings/undiscovered)をカップリングしたシングルも配信リリース予定。





お盆後半から急に涼しくなり、かすかに戻った暑さも夏の名残よりは秋の爽やかさが優勢。今日もまるで夏の終わりにダメを押されるように朝から曇り、昼頃には雷が鳴り雨も降り、夕方には秋空で晴れた。夏休みが終わり学校が始まってから1週間が過ぎ、誰もいない市民プールで虫やら葉っぱやらが浮きまくる中ひたすら泳いだ、このあたりの典型的な夏の終わり。どちかといえば懐かしく、でもよく知った顔である。

振り返るとこの夏は暑いほうの夏ではあったものの、最高気温や真夏日と熱帯夜の日数が更新されていくここ最近の記録尽くしの夏(または極端に涼しい夏)からすれば、わりとおとなしめの夏だったように思う。ほとんど無力に等しい微力ながら、夏好きを自粛した甲斐もあったのかもしれない。

あれだけ時間をかけたわりにあっという間に涼しくなって、しばらく手つかずだった夏のプレイリストを久しぶりに聴いてみても、もとから例年より涼しげに出来上がっているだけあって、過ぎゆく夏への寂しさをつつかれることもない。valium summerに歌われる“too early for september songs but much too late for love to bloom”の一節も、自然と細く開いた窓から聞こえてくる虫の声に取って代わられる。


the thrillsの2002-2007が結局8月に間に合わなかったと思えば、たしかにちょっと物足りない気もする。でもそこにこれという目新しさはないし、もちろん収録される14曲を含めthe thrillsの曲は全部iTunesに入っているので、実はいつもと変わらないthe thrillsとの夏でもあった。今年はそんなありがちな夏がありがたく、少し早い秋の風もうれしい。

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2011年08月29日

こっちのほうが気になって

最新のUKアルバム・チャート。will young(echoes)が初登場1位。同じく2位も初登場のjoe mcelderry(classic)。...ということで、adeleの“21”は、通算18週1位と12週2位を経て、実に31週目にして初の3位。つまり上位2作が初登場というのも少なくともおよそ8ヶ月ぶり。4位はwretch 32のデビュー・アルバムblack and white、5位は先週と変わらず“19”。

hard-fiの3rdアルバムkiller soundsは9位。前作の初登場1位からすると寂しい結果ではあるものの、この入れ替わりの激しいご時勢に4年の空白、先行シングルの不調、ただでさえロック勢には分が悪い現在のチャート等を考慮すれば、かろうじてのトップ10入りもとりあえずひと安心といったところ。

シングル・チャートでは、noel gallagher's high flying birds(the death of you and me)が15位に初登場。やはりロック勢には厳しい現状が反映されているのかもしれないが、gallagher兄弟周辺については、その兄弟ゲンカに世間が辟易している面も多分にあるように思う。解散してまで兄弟ゲンカが続くなら解散した意味もないわけで、oasisファンにとっては、それならば一緒に音楽をやってケンカしてもらったほうがまだましということになる。noelもliamも、そういったうんざりが影響したリアクションととらえるべきだろう。ソロ活動もせっかくのチャンスには違いないのだし、別に仲良くしろとは言わないが(突如仲良くされてもそれはそれで気味が悪い)、いいかげん黙ってそれぞれの音楽に邁進してほしい。



take thatは2年間の予定で活動休止。いかにもメディアが好きそうな活動休止理由も聞こえてくるが、robbie williams復帰とアルバムprogressの大ヒット、そして凄まじい規模のツアーをこなせば、黙っていても2年くらいの休養はあたりまえ。robbie williamsの新作も楽しみだし、近いところでは今年のchildren in needのチャリティ・シングルに、labrinth/tinchy stryder/wretch 32といったR&B/HIP HOP系のアーティストに混じってgary barlowも参加し、あのmassive attackのteardropをカバーするというニュース(11月13日リリース)もある。


morrisseyは11月にアメリカとメキシコをツアー。アメリカではふたつのテレビ番組出演も予定されているとのこと。ニューアルバムの詳細はまだ。


james blake & bon iverのfall creek boys choirとerasureのwhen i start to (break it all down)、この素晴らしすぎる2曲は今日から配信開始。

fall creek boys choir/james blake & bon iver
http://itunes.apple.com/jp/album/fall-creek-boys-choir-single/id459705541

when i start to (break it all down)/erasure
http://itunes.apple.com/jp/album/when-i-start-to-break-it-all/id457070053
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2011年08月26日

半径30cmのaddiction

10日ぶりくらいのまともな晴れだったので、最高気温29℃ながら、残暑というよりはまた夏がやって来たような新鮮な感覚があった。ゆえにthe thrillsの2002-2007がまだ届かないのが余計に残念。

HMVにありがちな遅延も今回は、残暑または夏の再来にあわせての粋な計らないと好意的に解釈しようとしていたのだが、確認してみると22日だった発売日が29日に延期になっていて、ほかにも29日発売だったstereo mc'sがいつの間にか発売中になっていたり、31日発売だったはずのwretch 32も本国と同じ22日に繰り上げになったりしていつにもましてめちゃくちゃ、狸に化かされているような気がする。

一緒に予約したhard-fiのkiller soundsもまだ届かず、james blakeとbon iverのfall creek boys choirを聴き大いに興奮しながらも、まだ嵐の前の静けさが続き、そこでまた手持ち無沙汰に手当たり次第にあれこれ聴いてまわるうちに行き当たったのが東京女子流の“Limited addiction”。

手持ち無沙汰も極まって心当たりも手当たりしだいも見失って、何気なくというかもはや仕方なく、yahooのトップ・ページからたどり着きPVを再生したのだが、イントロであっという間に持っていかれたまま夢中で三度ほど繰り返したあと、iTunes storeに直行して“Limited addiction”を購入、昨晩からほとんどこの曲しか聴いていない。

ギター志向のファンク・グルーヴを基調に、アシッド・ジャズ的でもあり、70年代から80年代にかけてのR&B調歌謡ロックの風情も漂う、クールでエレガントでキャッチーでカッコいい曲。小手先のテクニックに毒されず、かといって素人らしさにも決して逃げることなく、あくまでも正面を見据えたまっすぐなボーカルも魅力的。少なくとも僕にとっては、昨今のアイドル然とした佇まいとそのギャップによるちょっと露骨な売り方が必要ないほどまたは気にならないほど、純粋に曲とパフォーマンスだけで文句なく素晴らしい。

特にアイドルはファンの熱狂的な支持無くしては成立しないものだけれど、それでもこんな風にファン以外にさえ広くアピールできる強力な音楽ありきであってほしい。ファンや音楽業界のみならず、まだ幼くしてショウビジネスの世界に担ぎ出される彼女等彼等のためにこそ、そうあってほしいと思う。

Limited addiction/東京女子流
http://www.youtube.com/watch?v=X8VX6_mRABs

今年これまでに、邦楽で心を鷲づかみにされたのはこの“Limited addiciton”ともう1曲、アルカラの「半径30cmの中を知らない」。夜中のPVを垂れ流す番組でウトウトしながらせいぜい30秒ほど耳にしただけで引っかかった、つまりひと耳ぼれ。ついに映画化される古谷実の「ヒミズ」に音楽の入り込む隙間がもしあるとしたら、この曲をおいてほかにないと思う。

半径30cmの中を知らない/アルカラ
http://www.youtube.com/watch?v=DsiV5Ov7_JY


...そういえば、kasabianの新作velociraptor!のジャケットを初めて見たとき、これを描いたのは古谷実ではないかと本気で思った。


posted by atons at 19:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 東京女子流 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年08月25日

寡言実行の音

james blakeとbon iverの共作曲fall creek boys choirが予告どおり8月24日に公開。来週29日はiTunes storeから配信される。

http://www.youtube.com/watch?v=5aqKA_2UUy4

james blakeのリズム・トラックにしては気前のいいストレートな展開があったり、小窓からちらちらと雄大な風景がのぞくところはbon iver由来だったりするものの、概ね想定内の印象。なのにというかだからというか、またはそんなことはどうでもいいといわんばかりに、とにかく素晴らしい仕上がり。

このほかにも数曲レコーディングしているらしく、このあとの展開からもちょっと目が離せない。youtubeの動画の下には“Enough Thunder - Oct 2011”と意味ありげな表記もあるが、enough thunder自体は最近james blakeがライブで披露している新曲なので果たしてそれにあたるのかどうかは不明。

今回のコラボレーションにしても、“24th August 2011-James Blake & Bon Iver's 'Fall Creek Boys Choir'.”という、この二組の顔合わせからすればあまりにあっさりと、そして曖昧な一文があっただけで、まるでjames blakeの音楽のごとくに寡黙。これだけ素晴らしい曲を聴かされては、今後の具体的な予定を知りたくてたまらないわけだが...、しかし告知からわずか2週間で配信リリース、曲はただただ美しくエモーショナルなのだから、その寡黙さも単なる思わせぶりや肩透かしで終わらない、まさに不言実行ならぬ寡言実行スタイルは痛快でもある。


情報を小出しにして期待を煽るわりに、形になるまでにだらだらと時間を要するアーティストに翻弄され続けてきたこともあり、james blakeに限らず例えばthe killersのbrandon flowersなどもそうだが、最近の若手のアーティストのフット・ワークの軽さ、そして旺盛なクリエイティヴィティとその根本にある音楽に対する情熱には本当に感心させられる。

20年前のアルバムのデラックス・エディションに大枚をはたくよりも、こういった新しい才能へより耳を傾けるべきだ...と、the smitsh completeとachtung babyデラックス・エディションのリリースを前にしても、ついそう思わずにいられない。

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2011年08月24日

恥ずかしい忘れ物

夏休みボケで忘れていた大切なことを昨日から今日にかけてとりあえずふたつ思い出した。とりあえずというのはまだあ何かありそうですっきりしないからなのだが、とにかくそのひとつはneil finnの新バンドpajama club(9月13日)、もうひとつはまさかまさかのnoel gallgherだった。まだまだ続く兄弟ゲンカのニュースさえ目にして呆れていたというのに...。

pajama clubは派手な宣伝もしないので仕方ないにしても(それでも確か数日前にメールが届いていたような気が...)、noel gallagherをすっかり忘れていたのはかなり重症の夏休みボケ。しかも今日になってiTunes storeのトップ・ページを見て気づいたのだから情けない。ニュー・リリースについてiTunes storeに教えられるというのかすかに屈辱でもある。そんなことが無いようにちょっとシャキッとしなければいけないと妙なところで反省。

the death of you and me/noel gallagher's high flying birds
http://itunes.apple.com/jp/album/the-death-of-you-and-me-single/id455361773



その一方で今日はthe death of you and meの配信以上にうれしいニュースがあった。10月にmusic of quality and distinctionの再現ライブ(boy gerogeやgreen gartsideが出演)も控えているB.E.F。残念ながら新作“dark”は来年に持ち越しとなるようだが、それにさきがけ年内にはmusic of quality and distinctionのvol.1とvol.2をまとめた3枚組リマスター・デラックス盤のリリースが予定されているとのこと。

再現ライブがあるし、iTunes storeで配信されるようにもなったので、デラックス盤の予感も期待もあったのだが、vol.1/vol.2それぞれにボーナス・トラック追加はもちろんのこと、3枚目はmusic for listening to及び限定盤music for stowawaysからの曲、vol.2レコーディング時にお蔵入りになっていたバッキング・トラックに新たにボーカルを乗せたものに加え、さらにニュー・アルバムdarkからの曲も収録されるというその充実した内容は期待を大きく上回る。具体的なリリース時期はまだ不明だが、きっと10月の再現ライブにあわせてということになるのではないだろうか。
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2011年08月23日

嵐の前の静けさに

昨日リリースされたthe thrillsの2002-2007とhard-fiのkiller soundsを皮切りに、9月末まではシングルの配信を含めるとまさに怒涛のリリースラッシュにさらされる予定。the thrillsとhard-fiの2枚と一緒にstereo mc'sも届くし、来週にはred hot chili peppers/wretch 32、その後もerasure/james morrison/the drums/ben carrigan/daryl hall/clap hands your hands say yeah/the smithsと、ざっと思い出せるだけでもこれだけのちょっと外せない作品が控えている。

そのほかにも、いくつか大事なリリースを失念しているような気がしてならないし、johnny hates jazzも新曲披露するらしいし、duran duranもツアー再開するわけだから、音楽についての予定はすでにびっしり。今からちょっとそわそわ、無論にやにやも止まらない。


ただ明日あさってあたりまでは、その先陣を切る3枚が届きそうもなく、fire in the houseやレッチリのフル試聴もグッとこらえ、you knew it all alongを聴けば、虫の声もいっそう澄んで、すっかり嵐の前の静けさ。そんな手持ち無沙汰に、アーティストの名前を思いつくまま検索しオフィシャル・サイトやiTunes storeを覗いてみるのもまた楽し。

それで見つけたのが9月2日リリースのhubert kahのリミックス集。これまでもOMDやkajagoogooのリミックス集がリリースされているso80sシリーズの新作。

http://itunes.apple.com/jp/preorder/so8os-presents-hubert-kah/id458079623

90年代にリミックス・ベストを買った時も結局angel 07とlimousineしか聴かなかったのくらいなのでファンを名乗る資格はこれっぽっちもないけれど、この2曲は時々ふと聴きたくなる、アルバムを購入するほどではなく、iTunes storeで購入できれば有難い、...その最たる曲。しかも29曲で1200円(CDは今のところHMVのマルチバイで1900円)で、僕のようなファン未満にはおあつらえ向き。

というわけで嵐の前の静けさに、もうひとつ小さめの嵐が加わることになったのである。

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2011年08月22日

夏が来る

最新のUKアルバム・チャート。先週シングルpromisesが1位となったneroのデビュー作welcome realityが初登場1位。それによって先週まで3週連続1位だったamy winehouseのback to blackは3位、3位だったjay-z & kanye westのwatch the throneは4位。そしてadeleの“21”がいまだ2位以下知らずもはや不動の2位、“19”も変わらず5位。

シングル・チャート初登場1位は、wretch 32 feat. josh kumraのdon't go。the stone rosesのfool's goldをサンプリングした前作unorthodox(adeleもお気に入りとしてあげていた曲)では1位確実と言われながら2位に終わったものの、デビュー・アルバムblack and whiteのリリース週の初登場1位ということで、今週のneroと入れ替わりで来週アルバム・チャートでも初登場1位を狙えそう。先日のiTunes festivalでのunorthodoxのカッコよさはちょっとすごかった。

iTunes festival: london 2011 EP/wretch 32
http://itunes.apple.com/jp/album/itunes-festival-london-2011/id453787561

don't go自体は印象的なサビも一度聴いたら耳を離れない1位にふさわしい曲だと思うのだが、わりとこざっぱりしたneroのpromisesを聴いた翌週に、このシンプルなdon't goというタイトルを眺めると、その前に何故かpleaseがついて、kc & the sunshine bandではなくkwsのほうのplease don't goが流れ出し、またしても90年代がよみがえる。



そして今日はhard-fiの最高傑作確定3rdアルバムkiller soundsと、未発表曲や貴重な音源などは収録されておらず、特に熱心なファンであればあるほど目新しさに乏しい内容なのに、それでも何故だかとてもうれしいthe thrillsのベスト盤2002-2007の発売日。いずれも素敵な残暑を予感させる。
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2011年08月18日

夏休みの宿題のようなもの

待ちきれずに映画公開前に文庫化された原作を読んでしまったほど楽しみにしていた映画「127時間」。

演出にしても構成にしても編集にしても、大胆でスタイリッシュで無駄が無く、まるでひとつの楽曲のように一環したグルーヴさえ感じさせる見事な作品。普通であれば単純なドキュメンタリーに落ち着いてしまいそうな、「事実は小説より奇なり」を地でいくこの物語の強烈なインパクトにひるむことなく、しかしそのインパクトも失うことなく、映画というエンターテインメントに巧みに昇華している点は本当に凄いと思う。無限にも思える開放感とそこでの唯我独尊的な振る舞いからあっけなく自然に仕留められる、その落差のコントラストは残酷なまでに鮮やか。まるでそれが日常の取るに足りない仕事でもあるかのように皮肉っぽく流れるbill withersのlovely day、歓喜に満ちたsigur rosのfestivalをはじめとして音楽の配し方も完璧。

説明的に過ぎずに挿入される思い出の断片、家族や友人の救助への奔走をあえて丸ごと省略してしまったのも、一見過剰に映る知り合いをずらりと並べる手法も納得。またボトル内の映像や飲料CM風カットも喉の渇きを強調するとともに、ほとんどサブリミナル効果のように観客の喉の渇きをあおることに成功している。飲み物やポップコーンなど持たずに、さらに鑑賞の数時間前から水分を断って観れば、アーロンの渇きをほんの一端ながら体験できるようになっている。


しかしそんな風に映画としての醍醐味を堪能する一方で、それでも描ききれなかった過酷さに思い至ると、どうしてもその限界について考えずにはいられなかったし、改めて原作を読み直し補いをつけずにもいられなかった。


後悔に無駄な努力に諦め、開き直りからの微かな悟り、絶望と憤怒、トランス状態、神や悪魔にすがりつくことさえほんの序の口にすぎなかったその葛藤こそが、実は6日間の大半を占めていて、原作には興味深くまた身につまされ考えさせられる記述が沢山ある。傍から見れば動きの少ないそんな内面を映画的に表現するのは難しく、またそうしたところでよほどのアイディアがない限り観客にとっては退屈な時間となってしまうだけには違いないが、原作を読んだ人にはかなり物足りなく、あっさりとした感じも受けると思う。そしてその点からすると、生命の危機とその倒錯した状況をよりリアルに印象付けようとした性的欲求をイメージさせるシーンや、エンターテインメントとしての明快さと劇的な展開に引っ張られた感のある彼女とのエピソードなど、原作とは異なるシーンがかえって薄っぺらく感じられたのが残念だった。

原作では自らのうちにあった生きることに対する抗いがたい無邪気なまでの欲求の象徴としてイメージされている「坊や」が未来の息子として限定され、どちらかといえば手術の際アーロンにのりうつるべきだったはずが、それを見守るような描写になってしまっているのも同様に安っぽい印象を与えていると思う。

当然その影響は続く手術シーンの描写にも及んでいる。原作では意を決してというよりは成り行きに近いきっかけではじまり、何かにとりつかれ突き動かされ「わがままな子ども」に返ったように無我夢中で、しかし驚くほど淡々と作業が進む。それが冷静な視点で語られることでかえってのっぴきならない状況と極度の緊張感を生々しく伝えていて文字を追うのが苦痛に感じられるほどだった。やたらと生々しく描けばいいというものではないし、むしろ単なるドキュメンタリーではないこの映画のトーンに忠実な描写としては評価も出来るのだが、その範囲でもっと原作の痛みと異常な状況に近づける余地があるとしたら、そこに映画の可能性を見てみたかったという大きな心残りがある。

また、大自然を相手にした映画ながら始終音楽が鳴り続けるのも、単純なドキュメンタリーになることを拒否したこの作品の持ち味であり、実際に音楽が欠かせないらしいアーロンの人物像にも即しているわけだが、しかしだからこそ「音のない世界に気がふれそうだ」という耐え難い静寂をもっともっと強調すべきだったと思う。


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2011年08月14日

big talk

もともとronnie vannucciのドラムには、クールにリズム・キープするタイプでないのはもちろんだけれど、だからといってロック・グルーヴのダイナミズムや疾走感では捉えきれない、もっとその人となりからダイレクトに発せられるエモーショナルなノリがあり、漠然とながらどちらかといえば歌うように叩く人だなというイメージがあった。

この初ソロ・プロジェクトbig talkで聴かせるボーカルも、どこかそのドラム・プレイのごとくに、気持ちが乗ったヴィヴィッドなものであり、なかなかに堂に入っている。荒削りで初々しいbrandon flowersといった趣はどこか微笑ましくもあるものの、それにしても予想をはるかに超えて味のあるいいヴォーカルだと思う。

同様に楽曲のクオリティも軒並み高く、シングル向きのインパクトや煌びやかさとなれば1stシングルのgetaways、あとはunder water/replicaあたりに限られもするし、アルバムとしてはバラエティに乏しく一本調子である点は否めないものの、それぞれの曲はthe killersのアルバムに入っていても決して見劣りしない。


幻想的で少しひねくれたcrowded houseみたいなギター・ポップthe next one living(branodnはこの曲を1stシングルにすすめたらしい)やブルージーなno whiskeyやガレージなbig eyeもあるが、それ以外は概ねgetawaysやreplicaに象徴されるニュー・ウェイヴなシンセとエッジの効いたギターを基調としている。the eaglesのtake it easyを思わせるgirl at sunriseのようなカントリー・ロック調の曲もあり、メロディはどちらかといえばストレートで明快なタイプ、それがカチッとしたサウンドに乗るので、ニュー・ウェイヴ以降の影響を免れなかった80年代のアメリカン・ロック的な懐かしも感じさせる。

hot fussとsam's townの間、少しsam' s townよりにあり、またニュー・ウェイヴなテイストはbrandon flowersのwas it something i said ?/i came here to get over youあたりと共通するところもある。the killersとつかずはなれずには違いないものの、それだけにこれまで彼が歌うように叩くことで果たしてきた役割の大きさを再確認できるし、またレコーディング進行中のthe killersとしての新作においても、自ずとその存在感が増しているであろうことが想像できる力作だと思う。

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2011年08月13日

iTunes festival EP/james morrison

james morrisonのiTunes festival EPが配信開始。

iTunes festival:london 2011 EP/james morrison
http://itunes.apple.com/jp/album/itunes-festival-london-2011/id456715603

7月30日から2週間、首を長くして待っていたのだが、5曲も演奏された新曲が1曲も収録されていないのにまずがっかり、演奏されなかったはずのprecious loveとwonderful worldが収録されているのにちょっとびっくりした。

precious loveとwonderful worldについては、調べてみたら中継終了後にその2曲とニュー・アルバムからの1stシングルi won't let you goの3曲がアンコールとして演奏されていたということで納得。ただ新曲がひとつも収録されず、特に当日のハイライトのひとつだったright by your sideの熱唱がライブ音源として残らなかったというのは非常に残念。また、本編ラストのyou give me somethingが1曲目、そのあとにアンコール2曲目のprecious love、本編1曲目のunder the influenceと続く、行ったり来たりの曲順もライブ音源にしては不可解。


内容自体は文句無く素晴らしいし、過去2枚のアルバムから1stシングルを収録しているので決して出し惜しみともいえず、それどころか中継されなかった2曲を収録するのはむしろ粋な計らいでもあるわけだが...、ニュー・アルバムthe awakeningをアピールしつつ、さらにもっとjames morrisonの魅力を伝える選曲であればなおよかったと思う。
posted by atons at 15:14| Comment(0) | TrackBack(0) | james morrison | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする